大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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飲み会で声が枯れちゃう3つの理由

      2016/10/27

「講演会などでは、いくら話しても声が枯れないのに、
その後の懇親会などで話していると、
すぐに声が枯れてしまうのですが・・・?」

こんな質問をいただきました。

実は、同じ悩みを持つ方、結構いらっしゃいます!

かくいう私も、ライブやレコーディングなどでは、
2〜3時間、シャウトしても、びくともしない、おなじみ鉄のノド。
しかし、打ち上げなどで盛り上がった翌朝の声は完全に終了しています。

人前で話す、歌うときと飲み会でしゃべるとき。

この違い、一体何なのでしょう?

1. 環境が違う。

講演会の会場などは、静まりかえっています。
マイクを使わない場合でも、
話している自分の声が聞こえないようなことはないでしょう。

ライブなどで歌う場合は、時に楽器の音にかき消されて、
自分の声が聞こえないこともあるでしょうが、
モニターがきちんとしていれば大丈夫なはずです。

一方で、居酒屋などは、ものすごく騒がしい。
ほとんどの居酒屋は、
非常にライブ(反響が多いこと)につくられていて、
お店全体が人の話し声、店員の声、食器の音などで、
ワンワンと箱鳴りがしています。

そんな中で話せば、自分の声が聞こえないため、
知らず知らず大きな声になります。

声を大事に思うなら、静かなお店を選び、
騒々しい居酒屋などでの飲み会は避けること。
どうしても居酒屋に行く場合は極力しゃべらないこと。
そして、どうしても話さなくてはならないときは、
まわりが一瞬でも静まった間合いを見計らって話したり、
聞いて欲しい人の近くに行くなどの配慮が必要です。

また、ノドにタバコの煙は大敵です。
実は最も悪いのは副流煙。
まわりの人がひっきりなしにタバコを吸っているような環境にいれば、
それだけで、ノドが腫れたり、声が枯れたりします。

タバコを吸う人には近づかない。
吸う人が近くにいたら、自分に煙を向けないよう、
また、一度に複数の人が吸わないよう、
など、勇気を出してお願いしてみましょう。

2. 自分の状態が違う〜シラフ vs. アルコールが入っている〜

アルコール自体がノドに悪いわけではありません。

しかし、アルコールが入った時の状態を思い出してください。

ほとんどの人は、顔が赤くなる。目が充血する。
同じことが声帯周辺でも起きています。

つまり、声帯回りも充血している、デリケートな状態。

しかも、アルコールは利尿作用があるため、カラダ全体が乾燥します。

そんな時は、普段よりも丁寧に扱うべきなのに、
アルコールが入っていると、ついつい、
盛り上がって、必要以上に息んだり、
いつもより大きな声で話していたりするものです。

声を大事に思うなら、飲んだらできるだけしゃべらないこと。
どうしてもしゃべるなら、お酒はほどほどにして、
丁寧にしゃべりましょう。

こまめに水分を摂ることも大切です。

カラオケで盛り上がりたいなら、お酒はもちろん、なしです。

3. 自分の状態が違う〜スイッチが入っている vs. 入っていない

話すことや歌うことに長けた人が、パフォーマンスモードのときは、
アドレナリンが上昇し、話すことに非常に集中しています。

緊張している場合をのぞき、
自然とカラダの軸を感じ、深い呼吸ができているものです。

一方で、飲み会ともなれば、
壁に寄りかかり、ほおづえをつき、上半身をテーブルにあずけ、
軸も呼吸もあったものではありません。
完全にOFFモードなのです。

話すためのフォームができていないから、
なおさら、声帯や、その周辺筋肉に負担をかけるのです。

もう一度言います。
声を大事に思うなら、お酒の席で盛り上がりすぎ、
しゃべりすぎは禁物です。
どうしても話すなら、できるだけフォームを整えて、
正しい発声を心がけましょう。

 

いかがでしょうか?

「じゃ〜、飲みに行っても楽しくないじゃん?」
という声が聞こえて来そうです。

いえいえ、翌日がお休みだったり、
人前で話したり、歌ったりするお仕事がないなら、
思う存分はじけましょう。

せっかく飲むのに、楽しまなくっちゃ損ですからね(^O-)〜★

Have fun!

 

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