大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「知的財産」に敏感になる

   

情報には一次情報と二次情報があるといわれています。

 

一次情報とは、自分の目や耳や足で直接手に入れたもの。

二次情報とは、誰かから聞いた、本や雑誌、
ネットなどのメディアで見たなど、間接的に手に入れたもの。

 

二次情報は、誰にでも手に入るもの。
二次情報の中には、世紀の大発見はありません。

どんな専門家も、持っている情報の8割はこの、二次情報でしょう。

本で学んだ、師から学んだ、
ネットを通じて論文や研究発表を読んだ、など。
すべて、専門家としての情報源には欠かせないものばかりですが、

どれだけたくさんの情報を持っていても、二次情報である限り、
言ってしまえば受け売り。

これは、ボイトレでも、楽器に関しても、音楽全般でも同じことで、
どれだけ知識が豊富でも、誰かの二次情報の寄せ集めである以上、
大々的な評価を受けることはありません。

 

価値ある情報と認めてもらえるのは、やはり一次情報。

自分自身が経験や実験などを通して発見したものや、

他の誰も気づかなかった着眼点、オリジナルのアイディアで、
新たに情報を切り取り、検証に成功したもの。

そして、全くの無の状態から、形あるものを作り出した、
オリジナルアイディアでしょう。

 

ところが、日本では、この一次情報、二次情報の境界が曖昧です。

知的財産権に厳しい欧米の書籍では、情報ソースや、着想を得た本を、
すべて明白に記述します。

日本では、すべて二次情報と思えるような本でも、
出典が一切書かれていないということも珍しくありません。

二次情報として手に入れたにも関わらず、
あたかも自分の一次情報であるかのように、扱う人もたくさんいます。
一方で、一次情報に対する保護もゆるい。

 

日本では、編曲、いわゆるアレンジには、
知的財産権がありません。

作曲家が曲デモで提出したアレンジを、
赤の他人が、完全コピーしても、
一切権利を主張できないというケースも多々あるようです。

そんな状態なので、一次情報や、
オリジナルアイディアの管理に非常に甘い人を頻繁に見かけて、
いつもヒヤヒヤしています。

 

カナダのエージェント宅で、作曲活動にいそしんでいたときのお話です。

10曲ほどのデモが完成し、
これからプロモーションに入ろうというときに、
エージェントのKayが私にこう言いました。

「MISUMI、このテープ(当時はカセット)のコピーをつくって、
自分宛に封書で郵送してちょうだい。」

理由を尋ねると、Kayはこう言いました。

「届いた封筒は絶対に開けないで保管してね。
誰かがMISUMIの楽曲を盗作したときに、
先にその楽曲を書いたのはMISUMIだということが、
封筒の消印で証明できるのよ。」

海のものとも、山のものともつかない、アマチュアの楽曲にも、
知的財産としての最大のプロテクションを施す。

欧米のエージェントらしいきっぱりとした態度に接し、
自分の甘さに気づかされました。

以来、私は、楽曲管理をお願いしていない自分のオリジナルは、
一切、ネットなどで流さないようになりました。

書籍などの付属CDなどで発表した曲などに関しても、
すべて、権利関係をクリアにしています。

オリジナル曲は知的財産です。
完璧な一次情報です。

守るべきものを守る。

一方で、二次情報など、シェアすべきものは、
ソースを明白にした上で、惜しげもなくシェアする。

そうした、センスを磨くことは、
知的財産で、世の中に貢献して行くため、必要不可欠だと信じています。

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