大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「できる人」が集まる環境に身を置く

      2016/10/27

音楽のセンスや、ことばのセンスを磨いたり、
きらりと光る知性を身につけたり、
楽器の腕前をめきめきと上げたりするには、

さまざまな音楽を聴く、本を読む、
地道な練習や勉強をすることなどが、必要不可欠です。

しかし、実は、それらすべての効率を劇的に上げる、
非常にシンプルな裏技(?)があるのです。

 

それは!ずばり、

できる人と親しくなること。

そして、できる人が集う環境に身を置くこと。

 

「門前の小僧習わぬ経を読む」ということわざがありますが、

人が、日々、何の気なしにインプットしている情報量は、
実に莫大なものです。

例えば、「聞き流すだけで英語がしゃべれるようになる」という、
英会話教材の宣伝文句は、やや誇張気味かもしれませんが、

実際に英国や米国に長いこと滞在すれば、
たいした勉強をしなくても、気がつくと、
かなりの英語力が身についています。

それもそのはず、目が覚めてから、寝る瞬間まで、
目に入るすべての文字情報は英語で書かれています。
さらに、耳から入ってくることばも、自分が話すことばも英語。
英語ネイティブの中に身を置くだけで、
ボキャブラリーだけでなく、ことばのニュアンスや、
発音のセンスまでが磨かれていくのです。

やがて、気がつけば、英語をぺらぺらとしゃべるようになっている、というわけです。

 

同じことが音楽にも言えます。

優秀な人たちの中にいれば、
その人たちがどんなことにフォーカスして音楽を聴いているか、
何に注力して演奏しているか、などの、
「肝(きも)」のようなものがわかるようになります。

交わす会話の中に、
つかうことばや、聞く音楽の中に、
未知の、さまざまな情報がちりばめられ、

やがて、そうした人たちのこだわりや、センスのようなものが、
染みこむように、自分の血となり、肉となります。

気がつけば、自分自身の実力もぐんとあがっている。
不思議なようですが、これが本当の意味での「学習」なのでしょう。

これは、同じレベルの仲間の中にいたのでは、けしてわからないこと。

プロになっても同じです。
常に、自分より一歩も二歩も前を行っている、
優秀な人たちの中に身を置くようにすることで、
自分自身もどんどん磨かれて、ステップアップしてゆくのです。

もちろん、優秀な人たちに囲まれて、いい気分になっているだけではダメです。

「○○さんと知り合いなんだよ」などと、
他人に触れ回ることに、意味などありません。

冒頭であげたように、自分自身の努力は絶対必要ですし、
なにごとも貪欲に、素直に、吸収しようとすることも忘れてはいけません。

グレードが違う人たちの中に入っていくことは、簡単ではないと
感じる人もいるでしょう。

そんな人、どこにいるの?と思う人もいるかもしれない。

大事なことは、そうしたマインドを持つということ。
そして、アンテナを立てておくこと。
そんな人に、縁や運は訪れます。
そういうものです。

 

7927391_s

 

しばらくぶりに、明日のお昼ごろ発行するメルマガ。
インサイドストーリーでは、優秀な人たちと過ごすことができたおかげで、
私が学んできた、さまざまなことを、ご紹介します!

バックナンバーも読めますので、よろしければ是非こちらから登録してくださいね。

 

 

 - The プロフェッショナル, プロへの突破口, 夢を叶える

Comment

  1. TAKA より:

    一流のプロミュージシャンがライヴハウスに出て、終演後、気さくに客席でお客さんとおしゃべり・・・・・なんてこと、よくありますよね。

    ならば、そんなライヴを観に行って、すぐにライヴの感想を伝えに行って、そのついでに「自分も音楽やってます」って話につないでいって会話を拡げていく・・・・・・すぐに実践可能な「プロとの接点を創る方法」ですよね。

    でも、プロのシンガーとして世に出ることを目指しているはずなのに、その程度のことをやらない。その一方で、自分と同レベルの仲間や限られた数のファン(?)と付き合ってばかりいる。慣れ親しんだ心地よい世界から出ない・・・・・・そんな知人が複数います。

    いいものを持ってたりするので、非常に残念なんですが・・・・・

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

確信だけが、人の心を動かす。

「MISUMIさん、バッチっす!OKです!」 レコーディングのお仕事では、 歌っ …

一生OKの出ない地獄

「あ〜、今のとこ、ちょっと音取れてないみたいなんで、 もう1回お願いします。」 …

「違和感」をスルーしない

「違和感」は、ふわっと舞い降りる感覚です。   レコーディング中プレイ …

「あぁ、それ、年だよねー」

2024年、初ブログです。 本年もどうぞよろしくお願いします。 今日、10数年来 …

「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」

週末なので、インサイドストーリー的お話を。 生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学 …

「カッコいいやつ」が「カッコいいやつ」と呼ばれる5つの理由

「なんにもしなくてもカッコいいやつっているんだよ。 こればっかりは、どうしようも …

「想像力の限界」を認める

「ある程度、想像がつくこと」と「想像を越えること」の間には、 「経験」という決定 …

「あなたの勲章なんかに他人は興味ないんですよ」

かつて著者の勉強をするために、 『プロフィール講座』というセミナーに通ったことが …

「観客総立ち」を演出するプロの仕掛け

先日、キャロル・キングのケネディー・センター名誉賞をたたえて、 アレサ・フランク …

「これでいいのだ」と言い切る勇気。言い切れるまで追い込む努力。

中学時代、先生や英会話部の先輩たちが口々に、 「カーペンターズの英語はきれい」 …