大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「あの人はうまい」といわれる歌とは?

   

「あの人はうまい」といわれる歌と、そうでもない歌。

誰もが、「なんとなく」歌の善し悪しを判断しています。
好き嫌いは好みによって大きく分かれますが、
プロの耳で判断するまでもなく、
「あの人はうまい」といわれる人は、概ね同じ。

 

 

さて、では、その「なんとなく」の判断基準とはなんなのでしょう?

今日はその「なんとなくの判断基準」を3つご紹介します。

 

 

何より重要なのは「声」です。

楽器自体をきちんと鳴らせているか?
いい音を出せているか?

きちんと楽器を鳴らせていない時に出る音とは、

例えば、バイオリンならギーギーと弦をこする音、
フルートならひょへら〜ぴぴ〜、というような、息の雑音、

ギターなら、きゅきゅっという弦の上を指が滑る音や、
弦をはじいたときの、びょぃ〜〜んと言うノイズ、

ピアノなら、鍵盤の遊び部分のカタカタいう音や、
ペダルを踏んだときのがくんという音でしょうか。

肝心の楽音、つまりピッチ感のある楽器特有の音よりも、
そうしたノイズが大きければ、それはけして、「いい音」とは言えません。

声で言うなら息漏れ、
声帯がキレイに振動させられないために起きるノイズ、かすれ声、
仮声帯を不必要に振動させてしまうことによるだみ声などなど、
意図しない音は、聞く人の耳に心地よくないものです。

 

いい声、よく響く声は、
美と健康の象徴であり、カラダの機能が充実している証拠でもあります。

人は、そんな声を「いい声」と感じるものなのです。

 

2つ目はピッチ。つまりチューニング。

 

あまり音楽に詳しくない人でも、

チューニングのあっていないギターや、
長年調律をしていないピアノの音は、
なんとなく気持ちが悪かったり、濁って聞こえたりするものです。
それは、人間の耳が複数の音の波長の関係性を感じ取るから。
2つの、異なる周波数を持つ音が調和しているか、していないかは、
感覚の差こそあれ、誰もが感じ取れることなのです。

実は、一般の人でも、かなりの微妙な音のブレを、
「なんとなく気持ちよくない」「違和感がある」
などのように、感じるもの。

だからチューニング、ピッチをあわせることは、
歌の上達のための絶対条件といえるのです。

 

そして3つめはリズムです。

リズムには、点と線、そしてグルーブという側面があることは、
何度か紹介していますが、

今日のお題である「なんとなく」の判断基準になるのは、
リズムの「点」。

つまり、タイミングです。

歌い出しのタイミング。
楽器とのアンサンブル的タイミング。
メロディの流れで、音が移り変わっていくタイミング。

タイミングがあわないというのは、猛烈な違和感をもたらします。

 

東京ドームのような大きなホールで、
コンサートを見たことがある方ならわかると思うのですが、

スクリーンでドラマーがスネアを叩く瞬間から、
一瞬遅れて「バンッ」という音が会場に鳴り響く。

これに違和感を感じない人はいないはずです。

そこまで極端ではないにしても、
リズムが悪い人というのは、
微少な違和感を連続してつくり出しているようなところがある。

歌がなんとなくしゃきっとしないのは、そうした理由からです。

いかがでしょうか?

趣味で歌っている人ならともかく、
歌を志すなら、この3点は、常に徹底的に磨き、チェックしなくてはいけません。

歌心や表現力に想いを馳せる前に、
聞く人の気持ちをざわざわさせるような不快感や違和感を起こさせない、
最低限の実力を身につける。

歌の表現はその先にあるのです。

 

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 - イケてないシリーズ

Comment

  1. 原田 和恵 より:

    はじめまして。

    アイリッシュハープ弾き語りをしています。

    いくつか拝見するうちに、私の知りたいこと足りないと感じていること不安なことを知ることが出来ました。

    これからも(過去の記事も含めて)拝読させていただきます。

    分かりやすく、楽しいブログに出逢えて嬉しいです。

  2. otsukimisumi より:

    >原田 和恵さん
    ありがとうございます。
    どうぞよろしくお願いいたします!

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