「そこに愛はあるか?」
2016/03/20
同じ音楽家の先輩として、
生徒たちを指導しながら、自分自身の過去を追体験することがあります。
あのとき、あの人は、こんな気持ちで、ああ言ってくれたんだ。
きっと、あの人も、あの時は、こんな風に思ったんだ。。。
何十年も前に、私にさまざまなことばをくれた、
先輩やメンターたちの思いが、
びっくりするほど鮮明に蘇っては、
今さらながら、深く理解できたりするのです。
猪突猛進型のくせに不器用なタイプで、学習も遅くかった私が、
ずいぶんいろんな失敗をしたすえに、学んだ事は、
人生の転機はうまくいっているときではなく、
失敗したときにやってくるということ。
失敗を失敗と、きちんと悟らせ、
行くべき道を指し示してくれたメンターたちには、
感謝しかありません。
一所懸命な人を褒めちぎって、元気づけて、
いい気分にさせるのは簡単です。
ことばが、単に相手の気分を悪くしたり、
音楽をあきらめさせるようなものと知っていたら
彼らは、違うことばを選んだかもしれません。
しかし、自分なりの美学があるプロフェッショナルたちは、
そんな風に、一時的に相手をいい気にさせるより、
心に閃いたことばを率直に伝えることが、
まだまだ若くて前途洋々な若者にとって意味のあることだと、
信じてくれたのでしょう。
人にものを教える立場になって、
今度は私自身が、日々、猛烈な葛藤と戦っています。
「こんなもんかな?」と思う子に、
元気づけようと思うばかりに、なんとなくお世辞を言ってしまったとき、
私はこの瞬間に、この子の可能性をあきらめてしまったのか、
と落ち込みますし、
一方で、より高みを目指して欲しい子が満足してしまっているのを見ると、
「こんなもんでいいわけないでしょ!?」とばかり、
思いきり、叱り飛ばしてしまって、
言い過ぎたかなと、また落ち込んだりもします。
どんなことばを語るときも、
どんなに激しく、厳しく、強く語るときも、
そこに愛があれば、
それはいつかきっと、
10年、20年経って、理解してもらえる。
あのことばを聞いてよかったと思ってもらえるはず。
どんなことばを、どんな形で伝えるにせよ、
大切なことはたったひとつ。
「そこに愛はあるか?」
その問いに、
いつでもYESと答えられる自分でいなければと思うのです。
PS.
上記、写真は私ではありません。念のため。
私はこちら。
やっぱりムチ持ってる・・・(なんでやねん)
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