大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

手指のように声を操る

   

指差す。つかむ。運ぶ。数える。挟む。

はじめはやや不器用に、やがて思い通りに、
「手」は、生活を助けてくれます。

成長とともに、手に対する要求は高まります。

箸を使う。文字を書く。球を投げる。
そんな、ちょっと訓練を要することから、
 
楽器を演奏する。絵画を描く。包丁を操る。。。。などなど、
専門的な練習を必要とするようなことまで。
 

手指が自在に動くのは、生まれてから今日に至るまで、
積み重ねてきた訓練のおかげです。

 

こぼさないように。落とさないように。壊さないように。潰さないように。

数限りない失敗を乗り越えて、
あきらめることなく、飽くことなく、
ひたすら訓練を積み重ねてこなければ、

きっと今でも、思うように、
鉛筆も、ナイフフォークも、スマホも、
使えなかったに違いありません。

 

ある特定の目的を果たすために、必要な筋肉を、バランスよく使えるようになること。

 

トレーニングの目的はこれに尽きます。

 

声のトレーニングも同じです。

物を口に運ぶなどの動作と同じように、
私たちは、原初的、基本的な発声を、本能的に学んできました。

しかし、声の強弱や高低を操る。ことばを発音する。音色を変える。
・・・などなどは、

カラダの中の細かな筋肉たちが、
自分が描いたイメージ通りに、バランスよく動いてくれて、
初めて実現することです。

 

飽くことなき、忍耐強いトレーニングがあって、
初めてカラダの細部とのコネクションが生まれる。

 

さらに、プロフェッショナルとなれば、

自在に動くようになった筋肉を、いかに繊細に、厳密に動かして、
イメージ通り、もしくはイメージを越えるようなパフォーマンスをするかが、
勝負になります。

 

まずは、そこに「手」が存在していることを確認するように、
「声」と、「声を生み出す器官」の存在を意識すること。

 

意識を研ぎ澄ますことから、トレーニングははじまります。

 

23671532_s

 

 - 声のはなし

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

本当の声。好きな声。売れる声。

私、「自分の本当の声」がわからなくなっちゃって・・・。 私の「本当の声」って、ど …

人は「声の高低」でワクワク、感動する。

全っ然、キャラじゃないんで、 あんまり言わないんですが、 こう見えても、 ディズ …

60デシベルの勇気

先日、読んでいた本で、 「どんな物質も、意識のないところには存在しない。」 とい …

「情報」を正しく伝えるだけじゃ、 人は感動しないんだ。

「声って重要じゃないですか! プレゼンでも、講演でも、やっぱ、声だもんなぁ。」 …

ボーカリストや声を仕事にしている人にお勧めの「毎日すること」。

今日は、予告通り、(^^) ボーカリストや声を仕事にしている人にお勧めの「毎日す …

声は、自分という人間の印象を変えるのか?

声を変えることで、自分の印象を変えることができるのか? そもそも、声は変えられる …

「お腹は凹ますのか?突き出すのか?」問題について語ってみた

「歌うときは、おへその下10~15㎝下を少~しずつ凹ませましょう。 このとき、肋 …

音は「楽器」じゃなくって、「人」が出すものなのです。

かつて、ドラムの神様と言われたスティーヴ・ガッドが来日した際のお話です。 &nb …

自分の声。

「自分の声に興味のある人なんているんですか?」 これまで、何度か、 そんな質問を …

ビブラートのかけ方ぁ〜!?

ビブラートのかけ方などというものをはじめて意識したのは、 『これなら歌える!ボー …