大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

失敗も含めて「ライブ」なんだ。

   

どんなに、どんなにがんばって準備をしても、
ライブやコンサートには、失敗やアクシデントはつきものです。

 

ピッチをはずす。フラットする。
歌詞が飛ぶ。同じ歌詞を何度も歌ってしまう。
リズムが狂う。
構成を間違える・・・

 

 

そんな音楽的な失敗はもう、数限りなくありますが、

それ以外にも、

勢い余ってステージの上で仰向けにひっくり返ってしまったこと。

マイクのシールドを引っこ抜いてしまったこと。

衣装が破けたことや、
床に落ちたアクセサリーを自分で踏みつぶしたこと、

客席にアクセサリーが飛んでいっちゃったこともあります。

(どんだけ激しいステージをしてるんだ・・・って感じですが、
まぁ、それほどでもありません・・・と思います・・・)
盛り上がってスピーカーの上から飛び降りて骨折した、なんて人もいたし、

お客さんと大げんかになったという人もいた。

プールでのイベントで、あまりの暑さに、
コンサート終わりで高価な皮のスーツのままプールに飛び込んでしまい、
衣装が脱げなくて大変な目にあったという人もいました。

野外コンサートで、ぐあっと口を開けた瞬間大きな蛾が口の中に飛び込んだ、
なんて人もいたっけ・・・。

 
ボーカリストにとっては、
どんな失敗よりも一番恐ろしいのは、絶句してしまうことでしょうか。

 

とあるアーティストが、大きなコンサート会場のステージの上で、
さまざまな事情から、感極まりすぎて、歌えないどころか、
まったく声が出なくなってしまったのを目撃したことがあります。

つらそうで、可哀想で、
あぁ、どんなに逃げ出したいだろうと思ったものです。

 

私自身、NYでの、はじめてのライブで、
アンコールで歌った、それまで何十回とステージで歌ってきた曲が、
歌詞どころか、メロディさえ一切出てこなくて、
ステージの上で絶句してしまったことがあります。

いや〜恐ろしいことです。

 

お客さんが心配している様子が目に入る。
なにか、声に出さなくちゃと思うほどに、頭の中はさらに真っ白になる。

逃げ出したくて、楽屋に引っ込んでしまいたくて・・・
でも、それが許されない。
どうやら、脳に必要以上の負担がかかると、そんなことが起きるようですが、
まぁ、これもアクシデント。防ぎようがありません。

 

 

失敗やアクシデントがあると、
どうしても、次のライブが怖くなります。

また、しでかしたらどうしよう。
所詮自分には、ちゃんとしたステージは無理なのではないか・・・

 

 

 

とあるアーティストの楽屋を訪ねた時、彼はこんなことを言っていました。

 

「お客さんはアクシデントや失敗も含めて楽しんでくれるもの。
自分たちだけが目撃した、特別なシーンだって、喜ぶ人だっている。

もちろん、狙ってできることじゃないし、
送り手は常にいいもの、完璧なものを目差すことは大切なんだけど、
失敗したっていいんだよ。

失敗も含めてライブなんだからね。」

 

失敗に関するもっともポジティブなメッセージとして、
いつも忘れることのないことばです。

48484621 - depressed worried young man with worried desperate stressed expression hands covering face and brain melting into lines question marks. depression, anxiety disorders, life failure. gray background

【いよいよ第2期スタートです!】

大好評だった『MTLヴォイス&ヴォーカル レッスン12』
いよいよ第2期がスタートいたします。

6月27日(月)メルマガ読者様、
およびダイジェスト版ご参加の方の先行予約スタート。
29日(水)一般予約スタートとなります。

今回も定員はタイトです。
ご興味のある方はお早めのお申し込みをお勧めいたします。

メルマガの登録はこちらから。

 

 - The プロフェッショナル

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

  関連記事

「落としどころ」か?「限界突破」か?

完璧主義というほどではないですが、私はなにかと採点が辛いようで、 生徒やクライア …

好きで、得意で、何時間でもできることだけをがんばる。

かつては、何でもかんでも自分でやらなくちゃ気がすまない、 とりあえず、まずは自分 …

「プロ」の定義?

先日、友人の皇甫純圭さんが、 『プロとアマチュア』というタイトルのブログを書いて …

譜面台を立てる時のチェックポイント〜プロローグ〜

こちらのブログで繰り返し語っているように、 「ヴォーカリストたるもの、 人前で歌 …

頂点のその上って、どこなんだろう?

「ちょっと成功すると、みんな、そこで満足してしまう。 それで、ちょっとずつ失速し …

バンド・メンバーの選び方と、 そのメリットデメリット

友達と意気投合して、生まれて初めて組んだバンドが、 どかんと売れて、人気もバンド …

外しちゃいけないフレーズがあるから「ポップ」なんだ。

10年ほど前のこと。 英語教材のレコーディングで、 外国人のシンガーたちの通訳件 …

ギターの6弦のチューニングは”E”と決まってる?

ギターの弦チューニングは6弦から、EADGBEと、決まってます。 ・・・ん? 決 …

準備せよ。そして待て。

道が開けないとき。 ツキがやってこないと感じるとき。 過小評価されていると思える …

タフであること。 楽天的であること。 そして適度に鈍感であること。

少し前のこと。 とあるアーティストの子が、こんなことを言っていました。 「悪口を …