大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「プロ」の定義?

   

先日、友人の皇甫純圭さんが、
『プロとアマチュア』というタイトルのブログを書いていて、

いいこと言うなぁと、しみじみ感動したと同時に、

これまでの自分のこと、周囲のミュージシャンのことに思いを馳せ、
あれこれ考えさせられたので、今日はそんなお話を。

 

まず、絶対的に言えるのは、ホントにプロで活躍している人が、
「私、こう見えても一応プロですから。」などと言うのは、
たいがいジョークです。

 

そもそも、そんなこと、いちいち伝える必要がない。

KKさんや、KIさんや、KYさんや・・・(あえて名前出さないけど)

そんなプロ中のプロの人たちが、「僕、プロです」って言うのは、

 

まぁ・・・そうですね・・・

お母さんたちが、「こう見えても女ですから」というのと近い。

ジョークです。

 

そういうのを真剣に言う人は、
どっか、ちょっと、女に見てもらえない要素があって、
それを自分もわかっているから、
とりあえずハッキリしておきたくて言っちゃう。

 

KKさんや、KIさんや、KYさんにすれば、
もしも、プロに見られなかったとしたら、それはそれで面白い。

「KKさん、もしかして、陶芸家かなんかですか?」

と言われれば、
へぇ〜。そんな風に見えるんだぁ〜。
と、面白がって、かえって話を膨らましたりするかもしれません。

 

例えばマドンナが(適当な例が思いつかないから、まぁ、マドンナで)

「マドンナさんって、もしかして・・・ニューハーフですか?」

と言われたら、マドンナなら、
「そ〜なのよぉ〜」とジョークに変えてしまうかもしれない。

そんなレベルです。

 

サポート・コーラスとしてツアーに出始めたばかりの、まだ駆け出しの頃、

それはもう、ことあるごとに、
「こう見えても、一応、プロなんで」と言ってました。

自分がサポートしている有名歌手の名前を、
こっそりを装って、それでもちゃんと聞こえるように言ってみたり、

「今日、テレビなんだよね」とか、
「スタジオ、○時入りだから」とか、
「ゲネプロがあるからさぁ」とか、

とにかく、ギョーカイっぽいことばを挟み込んで、

(思えばたいして稼いでいなかったわけですが)

いかにも、「結構ギャラもらってるから羽振りがいいのよ」風に、
車を乗り回したり、派手な服を買いまくったり、

まー、そうですねー、
ちゃらちゃらしてました。

いやはや、お恥ずかしい・・・

 

スタジアムのステージに立ちました、
武道館に立ちました、
テレビに毎週出ています・・・と言っても、
ただのサポートのバックコーラス。

 

たいした実力があるわけでも、
飛び抜けて実績があるわけでもなく、

実際は、メンバーにいじめられ、
スタッフにいじめられ、
いじいじ、もたもたしていた頃です。

 

 

なんとかヴォーカリストとして認められたくてがんばってはいましたが、

どんなにメジャーなお仕事に携わっていても、
ライブハウスに行けば、普通のアマチュアです。

特別扱いなんか、してもらえません。

お客も入らない、たいしてうまいわけでもない。

そこでプロ風を吹かすほどイタいことはない。

「売れてません」って宣伝するようなものです。

 

でも、だからこそ、「私、プロなんです」と、
そりゃもう、めっちゃ主張したかったわけなんですけどね。

 

 

これはあくまでも持論ですが、
「プロ」って自分が認定するものではない。

 

人様が、世の中が、「プロ」と認定するもの。

たとえば、「プロ」ということばの意味からすれば、
「音楽だけで食べている人」となるでしょうが、

それは、一般の人が描く「プロ」というアイディアとは、
少しだけ、しかし決定的に違います。

 

自分が主張しなくても、
知らないうちに回りが認定してくれるようになって、
初めて本物の「プロ」。
そうなる頃には、いちいち宣伝しなくても、
身にまとう香水のように、「プロ」であることは自分の一部になるのです。

 

そうそう。
ときどき、プロ中のプロの、素晴らしい演奏を聴いて、

「やっぱりプロは違いますね〜」

とお漏らしになる方がいらっしゃるんですが・・・

それって、めっちゃキレイな女の人を見て、
「やっぱり女ですね〜」と言っているのに近いので、やめましょうね(^^)

プロだからすごいんじゃなくて、その人がすごいんです。

33724947 - asian professional singer and guitarist recording new song or album cd in studio

 - The プロフェッショナル

Comment

  1. TAKA より:

    >それって、めっちゃキレイな女の人を見て、
    >「やっぱり女ですね〜」と言っているのに近いので、やめましょうね(^^)
    >
    >プロだからすごいんじゃなくて、その人がすごいんです。

    言わんとするところはわかりますが・・・・・・これを言ってしまうと、その人はライヴを観て素直に感動を表現することが嫌になってしまうでしょうねぇ~・・・・

    聴き手は、たいてい、素人です。素人というのは、自分が感じたことを、どういう風に表現するといいかという「表現テクニック」的なことは知識もスキルもないのです。ただ、思ったこと、感じたことを、そのときの自分なりの言葉で表現しているだけ。
    「プロって、凄いんだな~」っていう、素直な感動。「プロだから凄いんじゃない。その人が凄い」なんて、そんな小難しいことは「感動」の中にはありません。

    美味しいもの食べて感動して、思わず「プロのシェフが作る料理は凄いですね!」と口にして、それに対して、「やめましょうね」とか「プロだから凄いんじゃない」なんて言われたら、自分の感動に対して「お前は言葉の選び方をしらない」「常識が無いやつだ」等々、馬鹿にされたようなもの。。。。。

    正直、こういう発言は、プロゆえの傲慢さと思いますし、真のプロなら、そんな表面的なことを非難することなく、「感動してくれてありがとう」っていう受け止め方をするんじゃないかな・・・・??

  2. TAKA より:

    >ときどき、プロ中のプロの、素晴らしい演奏を聴いて、
    >
    >「やっぱりプロは違いますね〜」
    >
    >とお漏らしになる方がいらっしゃるんですが・・・
    >
    >それって、めっちゃキレイな女の人を見て、
    >「やっぱり女ですね〜」と言っているのに近いので、やめましょうね(^^)
    >
    >プロだからすごいんじゃなくて、その人がすごいんです。

    前回の繰り返しのような内容になりますが、どうしても気になってしまって・・・・

    やっぱり、こういうのは、根底に「おい、“プロは違う”だの、そこらのプロを名乗る連中と十把一絡げにするんじゃねぇ!すげぇのは、俺様だ」的な傲慢さがあるように感じます。

    「お漏らしになる・・・」という言い方をされているように、音楽でも絵画でも料理でも映画でも、人間の感動って、ある意味、反射的なもの。

    感動が口から言葉になって出てくる瞬間って、それを「どういう言葉で表現するべきか・・・?」なんて考えたりしません。というか、そんな余裕はない。その瞬間に、たまたま出てきた言葉を出してしまうもの。

    人によっては、単なる「すげぇ・・・・」だったりします。もしそれに「すげえ?もっと他に言いようがないの?」とか言うとしたら、それは野暮の極み。

    こんな批判をされると、そういう感想を口にする人って、たいてい普段はきちんと音楽を聴く機会がなかった人たちだから、「あ、私みたいな者は感想を口にしちゃいけないんだ」とか「なんか音楽って難しい」とか「思ったこと言うと怒られるのか。怖い」とか「適切な表現で感想を口にできるようにならないと音楽を聴きに来ちゃいけないんだな」って思ってしまうでしょうね。

    それは、音楽人が自分で自分の首を絞めることでもある。
    そのお客さんが、その感動を出発点にして、音楽ライヴに興味をもって他のミュージシャンの演奏を聴こうとする気持ちを潰してしまうことにもなる。

    プロとしての自負やプライドを持つことと、聴き手の感情の出し方を批判することは、全く別のことだと思うんですね。

    「そういうのはやめましょうね。プロだからじゃない、その人が凄いんです」と指図するってことは、やっぱり、傲慢さでしかないと思います。

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