大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

英語の歌詞を完璧に覚えるオタッキーな方法

   

歌詞を覚えることの大切さについては、
もう、口が酸っぱくなるほど言い続けているのですが、

 

まぁ、いまだに、
「英語はどうしてもぉ・・・」や、
「覚えたつもりなのに忘れちゃってぇ〜」や、
「外タレだって歌詞見てるわけだしぃ〜」が後を絶ちません。
 

いいんです。いいんです。

そういうのって、「こうでなければいけない」はない。

譜面台立てるスタイルが好きなら、それでもいいじゃないですか。

歌詞カード見た方が、落ち着いていい歌が歌えるって言うなら、
それもいいでしょう。

 

ただね。

私があこがれて、追いかけてきたロックスターや、シンガーたちに、
譜面台の前で突っ立って歌っている人は1人もいない。
 
私が言いたいのは、そういうことです。

 

さて、では具体的にどうすれば、英詞は完璧に頭に入るのか?
 
今日は、これまで試行錯誤しながらやってきた、
『英語の歌詞を完璧に覚える方法』をご紹介します。

 

1.歌詞を手で書き写す。
 
いつの頃からか、歌詞が頭に入るのが遅くなったのは、
PCでプリントアウトするようになったから、と、最近分析しました。
 
手書きで書き写すと、プリントアウトしたのでは目立たない単語、
“That”や”and”のような細部にまで目が届くようになります。
 
実は、最終的に歌詞が頭に入るかどうかは、この”that”や”and”など、
細かい単語が重要なのです。

まずは細部に気づくこと。これです。

 

2.ことばの意味のすべてが腑に落ちるまで訳し倒す。
 
1行でも、1単語でも、文章の中に腑に落ちないことばがあると、
そこで記憶の流れがとぎれます。
 
人は無意味なことばは覚えられないものです。
 
どうしてもわからなければ、前後の意味から、
自分で訳をでっち上げてもいいのです。
 
自分の中でのつじつまが大切なんです。

 

3.韻を分析する。
 
英語の詞には韻があります。
 
ことばの意味の繋がりよりも、
むしろ韻を優先して書かれることも多々あります。

 ことばのサウンドを楽しめるようになれば、
歌詞はどんどん頭に入るようになるものです。

 

4.歌詞のハマリを徹底的にコピーする。
 
歌詞が覚えられない大きな原因に、
「ハマリやリズムを適当に歌っている」があります。
 
特にリズムのある曲の英詞は、
巧妙にビートを刻むように組み立てられています。
 
どんなに小さなことばも、語尾の子音さえも、
発音しなかったり、適当に省いてしまうと、
気持ちのよいグルーヴが出ないものです。
 
聞き逃している単語や、発音しそびれている音がないか?
 
徹底的に分析し、練習を繰り返せば、
歌詞はビート単位で頭に入ってきます。

 

5.自分と歌との関係性をつくりあげる。
 
リアリティを感じられない歌は歌えません。
自分にとってリアルじゃないから、覚えられないんです。

「体験したことがないから」じゃなくって、
歌うからには、歌と自分の関係性を見出さなくては、
歌う意味がありません。

 

歌の中の主人公の視点と、自分の視点をリンクさせる。
歌詞の中で展開する時系列を自分の時系列とリンクさせる。

大事なのはイマジネーションです。

この辺を語り出すと、1日分になりそうなので、また詳しく書きますね。

 

いかがでしょう?
 

かなりオタッキーに聞こえるかもしれませんが、
これらすべてをクリアすれば、
英語の歌詞を覚えるのは、ぐっと楽になるはずです。
 
しかも、お気づきかも知れませんが、
これだけやると、歌自体のグレードがぐっとあがります。
 

やるか、やらないか。
最後はこれだけですから。

19200274 - young man sing growls in hard rock concert

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 完コピ

Comment

  1. 石田 悟 より:

    『手で書く』は大事ですよね〜!
    18歳の頃に手書きで覚えた曲は『天国への階段』みたいな長い曲も30年経つのに忘れません。
    最近コピペして印刷して覚えた曲は日本語であってもすぐ忘れます。
    身体に染み込ませる作業が必要なんですよね。
    わかります(≧∇≦)b

  2. otsukimisumi より:

    >石田悟さん

    本当に。手で書いたものは、思い入れが違います。言葉に魂が宿るのかもしれません。
    便利な時代も考え物ですね。

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