大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「いい音を出すには、ある程度の音量が必要だ!」とかって言いますけどね・・・。

   

「いい音を出すには、ある程度の音量が必要だ」

ロックギターリストが口をそろえて言うことばです。

 

確かに、ロックはある程度の音量で聴くのが心地いい音楽です。

 

爆音礼賛というわけではありません。

しかし、ある程度、
「音圧」に包まれる感覚が心地いい音楽なのかもしれません。

 

とはいえ、ヴォーカリストたちは、
時に、この音圧で、難行苦行を強いられることになります。

 

お客さんに声が届かないことも多々ありますが、
何が困るって、自分で自分の声が聞こえないのです。

自分の声が聞こえないということは、
音痴だろうが、タイミングが遅れていようが、突っ込んでいようが、
なんなら、歌詞を間違えようが、わからないということ。

考えただけでも恐ろしいですね。

 

それではもちろん、困ります。

そんな時にヴォーカリストがする行動は、次の3つのうちのいずれか。

 

1.やたら大きい声で歌う。

これは、もう聞こえないから、大きい声になるんです。

耳の遠いご老人と同じです。

大きい声を出せば、声帯は伸びにくくなるので、ピッチも下がります。
ピッチが下がるから、声が抜けにくくなって、さらに聞こえにくくなります。

なので、さらに大きい声を出そうとします。

デリカシーのない一本調子の歌に聞こえたり、
ノドを壊してガラガラ声になってしまうのは、
なにも、そういう風に歌いたいからじゃないんですね。

 

 

私が言うのもなんですが、

大きい声を出して歌う事がロックだと思うのは、
とりあえず、やめたいものです。

 

2.モニターを上げてもらう。

 

モニター状況は小屋によっても大きく変わります。

単純にモニターの中で自分の声を上げてもらう、
他の楽器を下げてもらうなどするだけで、状況が改善することもありますが、

狭いライブハウスなどでは、
声の返しをあげると、自分のマイクが拾っているまわりの音まで上げてしまい、
ハウったり、かえって聞こえにくくなったりしてしまうことはよくあることです。

 

この辺は、音響の専門家中の専門家・岡田辰夫さんのご協力を得て書いた、
下記をじっくり読んでください。
ヴォーカリスト必読!マイクとモニターの超絶役に立つお話!!!〜前編〜
ヴォーカリスト必読!マイクとモニターの超絶役に立つお話!!!〜後編〜

3.楽器の人に、「音を下げてください」と言う。

これね〜。

冒頭でも書いたように、ギターのみならず、
楽器の人たちは、それぞれこだわって音をつくっているからか、
「自分にとっていい音に聞こえる音圧」というのがあるようで。

また、下げると、今度は、自分が、他の音に埋まって聞こえなくなる、
気持ちよく演奏できない・・・などなどもあるようで。。。

 

素直に下げてくれる人や、スピーカーの向きを変えてくれる人もいますが、

まぁ、「これが適正音量だ」とごねる人や、
「でかくないよっ!」と切れる人・・・いろいろあって、

もめることもよくありますね〜。

 

あ、あと、下げたふりする人や、
ちょっと下げるけど、本番になると、
結局、じりじり上げる人とかまでいますね(^^)

 

 

さて。

 

モニターや、楽器の音量に関しては、
折り合いのつくポイントをある程度時間をかけてみつけるしかありません。

リーダーやエンジニアさんが、その辺の調整もできれば最高です。
楽器の人たちは、いい音を、ミニマムな音量で出す工夫をしていただけると、
ありがたいですし、

ヴォーカリストは、やはり、声を正しく育てて、
ロックを歌いたいなら、ある程度、音圧のある声を持つことも大切です。

 

 

いずれにしても、耳やノドなど、カラダの一部を酷使することは、
長期的に見ていいアイディアとは言えません。

 

バランスよく、心地よく、いい音を楽しみたいものですね。

13381822 - girl shouting with fingers in ears

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