大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「からだレベル」でグルーブを感じる

   

8ビートは4分の4拍子の8分音符が8つで、16ビートはその倍で・・・
アクセントは2,4で・・・
リズムをちゃんと取るにはメトロノームにあわせて・・・

そんな風に左脳を使わなくっちゃ、リズムって感じられないものでしょうか?

もちろん、プロの現場では、クリックに合わせて演奏するシーンもたくさんあるので、
そんなトレーニングも必要です。

でも、それは、あくまでも、リズムトレーニングの一部。
リズムやビートは、もっともっとプリミティブなものです。

心臓の鼓動。
動物たちの足音。
赤ちゃんの寝息。

本能に組み込まれているのです。

大切なことは、カラダを解放すること。全身で感じること。

そんな、「生きるためのグルーブ」がやがて、ビートを刻み、リズムになるのです。

凝り固まったカラダでは、本来のグルーブは感じられません。

アマチュア時代、「リズム感がない」と烙印を押され、
悩みに悩んだ末に、ジャズダンス・スタジオの門を叩きました。

柔軟体操やリズムウォークを繰り返し、
運動音痴の私には絶望的とも言える振り付けに、
毎週、見よう見まねで必死について行っているうちに、
ふと、グルーブがカラダで理解できた瞬間がありました。

インストラクターのカウントに合わせて、腕をぐい〜んと伸ばした瞬間。
次の動作の構え、プリパレーションの姿勢を取った瞬間。
腰を左右に振りながら歩いた瞬間。

それまで、ただ漠然としかわからなかった「グルーブ」というものが、
ふ〜っとカラダレベルで理解できたのです。

その、グルーブに身をまかせた時の快感。

一度感じたら、いつでもその快感を求めてしまう類の、
けして去らない感覚です。

ビートやリズムを頭で考える前に、まずは全身でグルーブを感じましょう。

難しいことはなにもありません。
音楽に合わせて歩くこと。
カラダを揺らすこと。
手を伸ばしたり、腰を振ったり、ルールはありません。

ただ感じればいいのです。

音楽は「悩むもの」や「がんばるもの」じゃなくって、
全身で「感じるもの」。「楽しむもの」。

からだレベルでグルーブを理解できたら、
ビートやリズムを学ぶことがビックリするほど簡単に感じられるようになりますよ。

 - 未分類

  関連記事

no image
聴覚 視覚 筋感覚

歌がうまくなりたい、いい声になりたい、と思うなら、 研ぎ澄ましたい感覚が3つあり …

no image
「これが正しい」は自分で選び取る

アーティストや学生たちと接していると、 「何が正しいのかわからなくなってしまいま …

no image
声の印象を変える?

声は人の印象を決める上で、とても大切な役割をしています。 ある研究によれば、人は …

no image
「おかあさん声」の主は・・・

昨日、近くのストアにお買い物に行ったときのとこです。 商品に見入る私の横で、親子 …

no image
まずは母音の発音をチェックする

子音の発音は歯を使ったり、舌を使ったり、 結構難しいけど、母音は誰でも簡単に発音 …

no image
見せ方のうまい人の共通点

自分をどう見せたいか。どう見せるべきか。 人前に立つときのスタイルは誰もが気にす …

ポジティブな面にフォーカスする。

「今の、自分ではどうだった?」 そんな質問を、歌い終えたばかりの生徒に投げかける …

「ミュージシャン」という人生を生きる

先日マーリンズに入団が決まったイチロー選手が、 「現役最年長の野手として 開幕を …

no image
先人たちの名演に学ぶ

ボーカリストにとって、いや、ミュージシャンにとって、 最高の教材は先人たちの残し …

no image
変声期

昨日は12~16才の男の子ばかり、8名のボイトレを担当しました。 17才くらいか …