大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

カムバックを狙え!

   

足を骨折したことがあるでしょうか?

ギブスにすっぽりと守られて、
まったく動かせない状態のまま4週間。

ギブスを壊して足と再会するときには、
すっかり筋肉が落ちて、
見る影もないほどやせ細っています。

 

むにゃ十年間、休まず使いこまれてきた、
歩く筋肉、
伸び上がる筋肉、
ジャンプする筋肉、
ハイヒールに耐える筋肉・・・
それらすべてが、
たった4週間でキレイさっぱりリセットされる。

 

骨折の経験は、
筋肉というものに対する意識を変えました。

長年鍛えた筋肉だからと過信してはいけない。

つかわない筋肉は退化する。それも、たった4週間で。

 

一方で、一度カラダにしみつけた
「動きのイメージ」は、簡単にはリセットされません。

 

現役時代や、若い頃、
頻繁に行っていたことは、
細かい筋肉の使い方のコツから、
運動に必要な微少な筋肉の動きまで、
自分の脳の中で完全にリピートできます。

一度乗れるようになった自転車は乗れなくはなりませんし、
指先で覚えたピアノの鍵盤の幅は、
10年20年触らなかったくらいで、忘れたりしません。

 

問題は、
「イメージどおりの動きに耐える筋力が退化すること。」

 

頭の中のイメージほど、
指は上がらないし、手のひらは広がらない。
鍵盤を叩く力も、
親指をくぐらせる動作につかう、手のひらを寄せる力も・・・

筋肉の衰えや、その柔軟性の欠落で、
動作に移った瞬間に、頭の中のイメージも崩壊するのです。

 
 

しばらく現役から退いていた人が、
再び楽器なり、歌なりをはじめようとするなら、
このことをまず、頭に刻まなければいけません。

 

さて。

ほとんどの楽器の場合、
演奏するための筋肉の衰えは一目瞭然ですが、
歌う筋肉はそうはいきません。

だからイメージどおりの声が出ないと、
多くの人が、長年放置していたことをあっさり棚に上げ、
端的に「年だから」で片付けてしまおうとするのです。

歌うための筋肉というと、
「腹筋」くらいしか思い浮かばない人がほとんどでしょうが、

 

歌う事に関与している筋肉は信じられないほどたくさんあります。
姿勢を保つ筋肉、
呼吸に関わる筋肉、
体幹を支える筋肉、
声帯様周辺の筋肉、
声道まわりの筋肉、
表情筋・・・etc.etc…

それらひとつひとつ、すべてを
ろくに鍛えることなく、放置していれば、
歌のパフォーマンスが下がるのは当然です。

老化は、その状態を悪化させる手助けをしているに過ぎません。

 

しばらくキャリアにブランクのある人が、歌を再開しよう、
ライブシーンにカムバックしようと考えるなら、
このことを念頭に置いて、トレーニングを積む必要があります。
学生時代は毎週のように普通にやっていた体育や
休み時間に友達と行った球技などに、
今の自分のカラダが耐えられないと感じるなら、
歌のトレーニングと平行して、
体幹や持久力を鍛えるトレーニングも必要でしょう。

 

「カラダの中で歌う事に関与していないのは髪の毛ぐらい」と、
説明しています。

声はカラダを楽器として奏でる音。

カムバックを目差すなら、まずは全身の筋肉の活性化。

そこからです。

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 - カラダとノドのお話, 声のはなし

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