大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

テリトリーを広げよ。

   

学校に通うため上京してきた子たちにとって、
しばらくの間は、東京=自分の通う学校+自分の生活圏です。

まぁ、東京に出てきて、
いきなり新宿、渋谷をテリトリーに暗躍するようなツワモノは、
なかなかいないものですし、
無理して背伸びすれば、悪いおとなに目をつけられるのが関の山です。

 

しかし、おなじ環境で1年、2年と過ごし、
いろいろなことに自信がついたら、
次は少しずつ自分のテリトリーを広げる努力をしなくてはいけません。

少なくとも、音楽の世界でなにかをやっていきたいと思っているなら、
これはMUSTです。

 

ところが、これが、どうもなかなか難しいことらしい。

 

学校の中は学生たちに居心地よくできています。

練習環境も、演奏環境も、レコーディング環境もある。
アクティビティもあるし、競争の原理も働いている。

学校内にもそれなりに、チャンスや、出会いがあります。
学校行事で業界の人と出会ったという人もいます。

 

 

しかし、そこは、あくまでも学校。

音楽業界ではもちろんないし、
ミュージシャンの世界でもない。

なんなら、「東京」ですらない。
(実際、多くの学校が○○市にあるわけですが・・・)

 

それなのに、エネルギーのすべてを学校内の活動とバイトに注ぎ、
生活のすべてが、
それだけで完結している学生がどれだけいることか・・・。

いやいや。
学生ですから、勉学にいそしむのは当たり前です。

高い学費を払って学校に来ているわけですから、
練習室なり、
レコーディングスタジオなり、
使える環境は、思いきり使うべきです。

 

要は、その先、どこへ向かって行くか。

そこが大切なのです。

 

学校の中ではなにも起こっていません。

 

デビューさせてくれる人はいないし、
ヒット曲は生まれない。
業界へのパイプが転がっているわけでもない。

もちろん、プロフェッショナルな先生がたくさんいるわけですから、
学校での評価が無用だなどという気はありません。

先生方の間で評判になれば、
人はメディアですから、
外部の人と繋げてくれることもあり得ます。

 

しかし、それはあくまでも一つの可能性。

結局、自分自身が外に向かって閉じていれば、
どこへも行かれないのです。

 

こう言うと、
「やっぱり事務所に入らなくちゃダメなんですよね」
などと言い出す子がいます。

はいはいはい。

とりあえず、そういう、「事務所神話」は忘れて下さい。

業界には素晴らしい事務所があり、
素敵で、才気あふれるプロデューサーがたくさんいます。

しかし、その数十倍、いや、数百倍、
○ソのようなゴミ事務所があり、
ク○のようなエセプロデューサーがいます。

よくわかりもしないで、関わりあえば、
酷い目に遭わされます。

 

就職活動をするかのように、「事務所」を探す前に、
もっともっとやるべきこと、
できることはあるはずなのです。

 

よその学校の学祭やコンサートを積極的にチェックしてみる。

複数の学校のサークルなどに参加してみる。

さまざまな人が出演するジョイントライブに参加する。

おとながやっているセッションなどにも参加してみる。

デモ音源をつくって、思いつく限り、いろいろな人に聞いてもらう。

ストリートライブをやってみる。

コンテストやオーディションにエントリーする。

楽器店などのイベントに参加してみる。

SNSを利用して、外部の人に聞いてもらえる仕組みをつくる。。。。

etc.etc…..

 

ざっと思いつくだけでもこのくらいは出てきます。

 

学生時代の財産は、若さと時間。

そんな大切なものを、
校内活動と、ちょっぴりのバイト料に引き替えて、
満足していていいわけはありません。

やれることはなんだってやってやる。

そのくらいの勢いがなければ、どこへも行けません。

 

 

テリトリーを広げる。

生き抜いていくために、
生き残って行くために、
どんな動物も命がけでやっていること。

 

ここでも、本気が試されているのかもしれません。

 

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 - 夢を叶える, 音楽人キャリア・サバイバル

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