大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「譜面なんか読めなくてもいいっすよね?」

   

「音楽、やらないんですか?」
一般の方とお話していて、ふとそんな質問をすると、

「いやぁ。私なんか、譜面も読めないんですよ」
という答えが返ってくることがあります。

 

音楽=譜面。

そんな風に考えている人が、
少なからずいるということに、
何とも不思議な気持ちにさせられます。

 

確かにクラシック音楽を学んでいると、
譜面はなくてはならないMUSTアイテム。

 

譜面は、おそらくは、メディアも録音機材も、
ろくな交通手段もない時代に、
音楽を人から人へと、間違いなく伝えるために、
後世に名曲の数々を残すために考え出された、
いわば、世紀の発明でしょう。

 

譜面には作曲家たちの想いや、
演奏家たちの閃きなどが書き込まれています。

いかに譜面を正確に読み取るか、
はたまた「譜面という箱」からなにを取り出すかは、
クラシックの演奏家たちにとっては、
とても重要なことなのです。

一方で、ポピュラーやジャズの世界では、
譜面はいくつかの約束事が書き綴られたマニュアルのようなもの。

もしくは、みんなでおなじタイミングで、
おなじ場所に行き着くための地図のようなもの。

 

実際、ポピュラーやジャズの世界には、譜面が読めない、
リハーサルにも、レコーディングにも
正式な譜面など一切使わないという、
プレイヤーはたくさんいます。

 

バンドの音を聞けば、
自然にそこに乗っかってプレイができる人。

他の人が演奏するのを聞いて、
あっという間に進行を覚えてしまう人。

リハーサル中に、
バンドメンバーでアレンジを考えるため、
ライブやレコーディング段階では、
すでに進行が頭に入っているという人。

自主練するうちに、
進行が自然にカラダに入ってしまうという人。。。etc.etc…

 

ポピュラーの世界は、
譜面=音楽とは少し違う世界です。

 

しかし、もし、「譜面は読めなくてもいいのか?」
という質問をされれば、

「いや。やっぱりちゃんと勉強しましょう」と答えます。

特にプロのプレイヤーやシンガーを目指すなら、
ある程度譜面が読めないと、
必ず苦労する日はやってきます。

 

ちなみに、プロの世界で「譜面が読める」というのは、

ばっと譜面を広げられたら、
その場で楽器をつかわずに譜面に書かれたように歌える、

または、

巻物のような譜面をば〜っと配られて、
1回つるっとリハしただけで、
2回目は本番のレコーディングができる、

という驚愕のレベルです。

 

私自身、ピアノを10年ほどやっていたのもあって、
ちょっと練習すれば、
譜面を見ながら、ある程度の曲なら弾くことができますし、

長年スタジオで鍛えられたので、
ちょっと時間をもらえば、
(できればピアノがあった方がありがたいのですが)
譜面を追いながら歌う事もできないわけではありません。

 

しかし、このレベルは、
「一応、譜面は追えますが、あんまり得意ではありません。」
というレベル。

それでも、スタジオやサポートのお仕事を目差すなら、
最低限、このレベルはクリアしておかないと、無理なんです。

(もちろん、驚愕のレベルに行きたい人は、
さらにさらにがんばってください!)

 

シンガーソングライターや、
シンガーたちは、
そこまで目差さないにしても、

少なくとも、自分が歌っている音が、なんの音なのか、
その時楽器はどんなコードを弾いているのか、
理解できるようになりましょう。

 

シンガーソングライターでも、
ろくに譜面を読み書きできない子が実はたくさんいますが、

多くの子が、
譜面で書き表せない音を平気で歌っている。
譜面にない音オンパレードでは、
聞いている人は当然、「ピッチが悪い」と感じます。

自分が歌っている音を確認することで、
初めて歌うべき音がクリアに見えてくるのです。

 

さらに、声域のチェンジのプランニングもできますし、

自分が書く曲の傾向をチェックすることもできます。

天然で曲を書いているだけだと、
ついついメロディやコードの進行が
ワンパターンになったりもします。

 

「譜面が読めないから・・・」と音楽を敬遠している人には、
「譜面なんか、読めなくても大丈夫!」ってことを、

そして、

「譜面なんか読めなくてもいいっすよね?」
というミュージシャンには、
「いやいや、とりあえず、勉強して!」ってことを、

 

お伝えしておきたい、今日のブログでした!

 

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 - プロへの突破口, 謎の質問シリーズ, 音楽

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