大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「どうやったらできるか」じゃなくて、「どうやったらなれるか」。

   

「どうやったらできるか」が知りたいのは、
真面目に学ぶ気のある人のお話です。

たいがいの人は
「どうやったらなれるか」の方に興味があります。

まぁ、もっと大多数の人は、
「その人になるって、どんなか」の方にうんと興味があって、
だから雑誌やワイドショーがいつの時代も売れるわけです。

 

「どうやったらなれるか」と考えれば、
例えば、ロックギターリストなら、
ギターのスキルだけでは不十分です。

 

 

ルックスもアチチュードも必要ですし、
ある程度のカリスマ性やスター性も大切。

エネルギーや情熱、
そして、まわりの人を動かすパワーもいりますし、
コミュニケーションスキルもいるでしょう。

ある程度計算高くないとダメですし、
先を読む力も大事。
 
もちろん、東京に出ようとか、海外に行こうとか、
行動力も必要です。

そして、そして、
何よりも、運を引き寄せる力が大切です。
 
そうした、「どうやったらなれるか」というノウハウは、
複合的な要素の組み合わせ。
一概に、これをすればOK、というようなものではありません。

しかし、こうしたポイントを無視して、
ただただひたむきに練習に励んでも、
結局どこにもいけないまま、終わってしまいます。

 

人はあこがれを感じる人の演奏や歌を聴きたいもの。
その人にあこがれを感じるのは、
単にプレイがうまいということではなくて、
その人の存在そのものに惹かれるということです。

 

いいプレイヤー、いいシンガーになりたかったら、
いい人間になること。
出音は正直なものなのです。

 

さらに、
人が惹き付けられるのは、その人のパワー。

人に与えて余りあるだけのエネルギー、パワーを、
持ち続けること。
そんなエネルギーをどうやったら自分が発信できるかを考え続けること。

そして、行動。
勇気を持って、真っ直ぐに進んでいく行動力。

 

もちろんね。

そんなことを考えているばかりでは、
ギターも歌も、どんな楽器も、上達はしません。

プロの現場では、
どんなに人間的に魅力があって、パワーがあっても、
へたくそはへたくそ。
一時的にいい思いをすることがあったとしても、
あっという間に相手にされなくなるでしょう。

一方で、
そんな複合的な、プレイヤー、ヴォーカリストとしての魅力を、
どうしたら育てられるのかを、
一所懸命考え、行動していくことも、
練習とおなじくらい大切。
 
広い視野でキャリアというものをとらえられるからこそ、
長い間、一線で活躍できるミュージシャンになるのですね。

 

◆コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』。購読はこちらから

 - Life, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 音楽人キャリア・サバイバル

  関連記事

頭痛がイタい!?

ここ1~2週間、頭痛に悩まされていました。 毎朝、首がぱんぱんに張って目が覚める …

大きな変化は一瞬で起こる

変化はいきなりやってくる。 長年人間をやってきた実感です。   毎日が …

旅に出よう!〜自分自身を見つめ直すチャンス〜

海外に出かけると、日本人が日本人と目を合わせないようにしていることに気づいて、 …

習慣化するための3つのコツとくふう

自主ロックダウンスタート以来、 新しい習慣がいくつかできました。 毎朝のヨガ(3 …

「失敗しても、それでいいんだ」

「失敗しても、それでいいんだよ」   ここぞと言うときに、人は、さまざ …

メイクに目覚める年齢 vs. あきらめる年齢

大学4年の頃、よく遊んでいた同級生の男子に、いきなり、 「っていうかさぁ、コサカ …

「ケツカッチン」で、劇的に成果を上げる

延ばせないデッドライン(締め切り)のことを、 業界用語で「ケツカッチン」と言いま …

「どうせ向いてない」を変える3つのプロセス

楽器の練習や歌の練習、パフォーマンスや創作活動がうまくいかないとき、 自分がどう …

その時間を「練習」と感じるか、感じないか。問題はそこです。

「毎日、何時間勉強してる?」 「なにやってるの?問題集?」 試験前になると、 成 …

「初めて」の恐怖を克服する

初めて出かける場所。 初めて会う人。 初めて挑戦すること。 人間は「初めて」にワ …