大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「たった5分」に情熱を傾けるのは不毛ですか?

   

高校時代のお話です。

文化祭前に来る日も来る日も練習に明け暮れる私に、
同級生のUちゃんが言いました。

「ねぇ、MISUMIたち、文化祭で何分くらい演奏するの?」

「持ち時間30分。」

「えぇ〜〜。たった30分のために、そんなに毎日練習してるの〜?
私、絶対無理だわ。」

ものすごくインパクトのあることばでした。

そう言われてみれば、なるほど。
全くその通りです。

たった30分のために、
私たちは夏休みから、なけなしのお小遣いでスタジオを借り、
新学期は、ほぼ毎日朝練、
放課後は下校時間ギリギリまで、練習をしていました。

土曜日も日曜日も、みんなの予定が空いていれば学校でも練習です。

家に帰れば、ごはん時間以外は、
部屋にこもってギターの練習。歌の練習。

授業時間は譜面や歌詞のチェックをしているか、
疲れて寝ているか。

まだまだ、それぞれがへたくそだったこともあり、
単に、集まって練習していることが、
ものすごい充実感を感じたこともあって、
ほんの7〜8曲を演奏するのに、
何十時間も練習したことになります。

 

ステージに立っていない時間を無駄に感じたら、
音楽って成立しないんだよな。。。

そう、強く思いました。

 

プレイボタンを押せば、
たった5分で再生の終わってしまう曲をつくるのに、
アーティストは一体何時間つかうのか。

そのアレンジに、演奏に、どれだけの労力と時間がつかわれ、
プレイヤー、アレンジャー、プロデューサー、エンジニア、
カメラマン、デザイナー・・・
どれだけの人がその制作に携わり、

どれだけの人の手、どんなシステムの構築によって、
その曲は人の手に届くのか。

プレイボタンを押せば、たった5分で聞き終わってしまう音楽。

その「たった5分」に、
どれだけの想いと、時間と、人の手がかけられているのか。

「たった5分」が
どれだけの人に勇気をあたえ、
どれだけの人の人生を変えるのか。

 

コンサートしかり。
パフォーマンス、アート、演劇しかり。
本も、スピーチも、いやおそらく、スポーツだって。。。

 

「たった5分」。

そこに人生をかけるだけの価値を見いだせた自分を、
なんだかひどく幸せな人間と感じたと同時に、

なんて大変なことに魅了されちゃったんだろうと、
恐ろしさも感じたのでした。

 

ブログも、メルマガも、きっとおなじ。
ほんの1~2分もあれば読み終わる記事を、
私は日々、夢中になって書いています。

それでも、このブログを、メルマガを、
アップするたびに読んでくれる、
時に数千人にもおよぶ人たちが、
それぞれの大切な2分間を私のことばと共に過ごしてくれると想像したら、
それは、ものすごくスリルを感じること。

 

「たった5分」をどこまで高められるかを、
一生追いかけていられたら・・・。

私は、今も、それで幸せです。

「たった5分」。
あなたにとって、それは、どんな時間でしょうか。

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