大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「うまくなりたいけど、練習できない」を変える3つのステップ

   

高校1年の頃だったか、仲のよかった友人たちが、放課後、誰からともなく『Caféに行こう!』と言い出しました。
学校行事が多くて数日思うようにギターを弾けていなくて、「今日こそ、絶対早く帰宅して練習しよう!」と決めていた日のことでした。
みんなのことが大好きで、そのCaféも(当時は喫茶店と言ったね)好きで、誘ってもらって嬉しくて、たぶん、あたしはその時、心の底から、みんなと一緒に行きたかったんでしょう。
心を鬼にして「今日は帰って練習する」と告げた時、友だちに「へぇ、MISUMIはエライね」と言われ、本当にいやな気持ちになったこと、楽しそうに連れだってCaféに向かう友人たちの後ろ姿を、後悔と淋しさの入り交じった、どーんと重たい気持ちで見送ったことが、半世紀近く時が経とうとしている今でも鮮明に思い出されます。

練習ってのは、自分の内外のあらゆる抵抗勢力との戦いなのだと、その時、痛感しました。


「うまくなりたいけど、練習できない」を変える3つのステップ

■ステップ 1:最初から「練習」が好きな人はいない

練習を一切しなくても、歌いたい歌を、いつでもどこでも自由自在、思い通りに、何時間でも歌い続けられる能力を持っていたら、練習なんかする人はいないでしょう。

脳というのは、怠惰なもの。
だから全力で、努力をしない方向に私たちの感情を引っ張ろうとするらしい。
みんなの後ろ姿を見送った時の「いやな気持ち」の正体は、脳の罠なんですな。

まずは、この脳が仕掛けてくる罠に打ち勝つ。
この時が、とにかく一番苦しいわけですが、ここを越えないとなにもはじまりません。

えいっと踏ん張るところです。

■ステップ 2:「練習」が報われた時の快感は、努力する時の「いやな気持ち」を越える

練習は裏切りません。
必ず報われます。
友だちと遊びに行くのをがまんしてまで練習すると、結果が出たときの達成感はさらに大きくなります。
自分を思いきり誉めてやりたくなるんです。

「ほらね、あそこでがまんしたから、できたんじゃん。
偉いぞ、あたし。」

ひとつひとつの結果の価値が上がるんですね。
そして、それを手に入れた自分自身にどんどん自信がつく。

■ステップ 3:「やった感」がカラダに染みつくから、練習が好きになる

人間ってのはキャッシュな生き物です。

「これ、がんばると儲かる」とわかると、「これ」自体が好きになる。
「練習がんばると、あんなにいい気分になる」と知ってしまうと、「練習」自体が好きになる。

さ、練習しようと思うとちょっと楽しい気持ちになる。
練習していると、どんどん気分が高揚して、ますます練習に身が入る。

ここまで自分を持って行かれたら、後はどんどんプラスのスパイラル。
上昇気流です。

どんどん上達する人は、このスパイラルに乗っかっている、というわけです。


もちろん、こんな話を聞いたところで、友だちとCaféに行かないという選択が楽になるわけではありません。
寒い練習室には行きたくないし、仕事も家事も連絡も、やらなきゃいけないことはたっくさんあるし、いやいや、あたしは疲れているから、今日くらいはぼーっとしたいし、、、

そこで、練習を選択できるか否か。

「ほんとにやりたいのか?」が試されるのは、その瞬間です。

 


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