大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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自分がヘタに聞こえるのは、上達してきた証拠

   

週1回90分レッスンに通いながら、日々コツコツと自主トレもできる人なら、
およそ1ヶ月半、6回のレッスンで確実に結果が出ます。
それも、周囲の人がびっくりするほどのレベルで上達するのです。

MTLをスタートして16年。嘘偽りのないデータです。

期間と上達を約束できること、そして確実にその約束を果たすこと。
それこそが、私のレッスンが、クチコミで業界の方たちに広まった理由だと考えています。

 

ところが、シンガーたちは、この1ヶ月半を経て、自分のダメさ、ヘタさにどんどん気づくようになります。
いえいえ、私がこき下ろしたりするわけではありません。むしろ反対。
シンガーたちが、自分の強みを見出せるよう、その魅力をますます研ぎ澄ませるよう、とにかく徹底的に自己肯定感が上がることばを投げ掛け続けます。

本人たちだって、もちろん、上達しているという実感はある。

しかし、上達するということは、先日の記事でお話した解像度がどんどん上がるということ。
やがて、受け取る情報の解像度に、自分自身のアウトプット力が追いつかないという状態に陥ります。
解像度があがっているから、自分へのフィードバックもますますシビアになるのです。

これが、どんどん上達する人に起きることです。
だから、「やればやるほどヘタになってる気がする」「どんどんわかんなくなる」なんて、ことになるわけです。

大丈夫。
アハ体験を繰り返して、解像度に、アウトプットの精度がちょっとずつ追いつく。
すると、また解像度が上がる。
この、イタチごっここそが、上達の秘訣です。

表現したいことに表現力が追いつかない。
だから、一生進化し続けられるんです。

努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ。(リオネル・メッシ)


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 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, ある日のレッスンから, ヴォイストレーナーという仕事, 歌を極める

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