大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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声の不調症状ランキングno.1 「痰がからむ」

      2017/08/13

レッスンで、教え子やクライアントの声の状態が悪いと感じると、
いつも本当にドキリとします。

その度に、徹底的にヒアリングをしたり、
発声練習をさせながら、彼らのカラダの中で何が起こっているのか、
五感を使って情報収集したり。

そのせいで、
自分自身がボーカリストメインで仕事をやっていたとき以上に、
声の不調の原因と向き合うことが多くなりました。
声の不調症状のランキングで、つねに上位に位置するのが、
今日ご紹介する、「痰がからむ」です。

 

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歌い出しに必ず痰が絡んだような状態になるという子は、
実は、かなりの確率で存在します。

人のカラダは、声帯まわりに発声などで刺激を与えることで、
潤滑油のように粘液、すなわち痰を分泌する、というような説もあります。

特に室内外の気温差がある季節や、乾燥している季節などは、
そうした傾向が強くなります。

無理に痰を切ろうとするのは、声帯に負担をかけるとも言われています。

ですから、多少の痰など気にせず、
少しずつウォーミングアップして、痰が切れるのを待つというのは、
もちろん、ひとつの方法です。
温まってくると、ウソのようにスッキリした声になる人もいます。

自分の声が、痰の切れたスッキリした状態になるまでには、
何分くらいの時間が必要なのかを知っておくことは大切なことです。

しかし、中には、少々やっかいなタイプもいます。
30分、1時間経っても痰が切れず、なかなかいい声が出てこないのです。

原因として多く見られるのは、以下の5つ。

1.風邪をひいた、または、ひいている

たいして歌っていないのに、明らかに声がガラガラしたり、
痰がどんどん出てきたり。

いつもは、こんなことないのに、と思ったら、
まずは風邪を疑います。

声帯が炎症を起こしている。
または、風邪の菌によってデリケートな状態になっているのです。

ビタミンと水分をたくさんとって、保温と休養に努めましょう。

 

2. 喫煙の習慣がある、またはあった

喫煙は、声帯や気管をとてもデリケートな状態にします。

また、禁煙しても粘膜などが元の状態に戻るのには、時間がかかるため、
痰などが出やすいという症状はしばらく続くことになるようです。

不調を感じるなら、タバコは、一日も早くやめること。
そして、禁煙後は、一日も早くカラダの中を浄化して、
健康な状態に戻すよう努めましょう。
3. 水の摂取量が少ない

水分摂取量が減ると、粘液が濃くなります。
本来、さらさらなはずの声帯の粘液の濃度も濃くなり、
痰となって発声を妨げることになります。

水を適性量、飲むこと。
新鮮な果物をたくさん食べること。

アルコール、カフェイン、人工甘味料などの入っている飲み物は
水にはカウントされません。
ジュース類もフレッシュなもの以外は、カウントされません。

アメリカのボイストレーナーは、痰を出さないためには、
乳製品を断てと言っている人もいるくらいです。

4. 慢性鼻炎、副鼻腔炎などの症状、後鼻漏の傾向がある

慢性鼻炎、副鼻腔炎などの持病を持っている人は、
後鼻漏、すなわち、喉の後ろを鼻水が流れる傾向があります。

それらが、直接痰のように絡むこともあれば、
その刺激によって、痰が分泌されることもあるようです。

鼻の悪い人は、早めに耳鼻科を受診して、少しでも症状を和らげること。
アレルギーなどへの対処や、体質改善なども大切でしょう。

5. 声帯に結節、ポリープなどがある

痰が絡んでいるのか、いないのか、よくわからないけど、
なんだか声がガラガラする。
風邪でもないのに、そんな症状が数週間続いている。

そんな時は、迷わず耳鼻科を受診しましょう。

ポリープや結節ができていると、
痰などが出やすくなるということがあります。

風邪でもないのに、声のガラガラが続くというのは、明らかに異常です。
ポリープや結節は早めに見つけるほど、
完治するのも早くなります。

 - 声のはなし

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