誤解だらけの「ロック声」。そのシャウトでは、危険です。
2016/03/31
ハスキーで、ひずんだ感じの、
いわゆる「ロック声」には、いろいろな誤解があります。
・酒とたばこで、ロックっぽい、いい声をつくる。
・いい声になりたかったら、一度ノドを潰さないとダメ。
・ロック声だと、音程が多少ずれていても大丈夫。
・ロック声に一度なってしまうと、キレイな声が出ない。
・・・etc.etc….
はい。
ハッキリと申し上げます。
ロックなひずんだ声と、
ノドを潰したガラガラ声は、全く別物です。
かつて、よくご一緒させていただいた柳ジョージさんは、
めちゃくちゃロックな、しびれる声の持ち主でしたが、
「耳鼻科行ったら、こんなにキレイな声帯、見たことねぇって言われちゃったよ〜」と自慢していました。
ピッチをはずさずに、きっちり歌う
高い声をくっきり歌う。
キレイなファルセットを出す。
声帯にスタミナがあって、ガラガラしない。
音量調節も自由自在。
そんな、ヴォーカリストとしての、
基本中の基本とも言えるパフォーマンスをするためには、
健康な声帯は必要不可欠。
対して、
酒やタバコ、そして、悪い発声やノドを酷使するなどして、
結節やポリープができてしまった、
いわゆる「潰れた声」は、
声の芯がない。
いわゆるしゃがれ成分ばかりで、声量もない。
音程感がハッキリしない。
声のヌケが悪い。
ファルセットも高い声も出ない。
・・と、せっかく一所懸命練習したことが、
すべて裏目に出てしまいます。
さて、では、聞き手が「ロックな声」と認識する、
ハスキーでひずんだ声は、どうして出るんでしょう?
エレキギターを例にとって説明すると。。。
ギターの弦は音の種をつくり、
その張りによって、ピッチを決定します。
実際に音色を決めるのはボディーの形と状態。
どのようなボディのギターに張られるかで、
同じ弦でも音色は全然変わってきます。
弦が錆び付いていたり、こすれて切れかけていたりすれば、
当然音程は怪しくなりますし、本来の響きも、音量も出ません。
だから、弦自体のベストコンディションを保つよう、
ギターリストは常に気を配っています。
「歪み」は、エフェクターやアンプでかけるのが常識。
わざわざ弦の状態を悪くして、ぎしぎし言う音にすることは、
あり得ません。
人間のカラダも同じ。
声帯は音の種を作り、そのピッチを決定し、
ボディの形と、その状態で音色を決定します。
ロック声の特徴である、「歪み」、つまり「ディストーション」は、
人間のカラダが持っているエフェクターで、
歪み成分をプラスしてつくります。
そのエフェクターとは、ずばり「仮声帯」。
声帯の振動とともに、仮声帯が振動することで、
例の、「ロック声」ができるのです。
仮声帯は力むほど、振動しづらくなります。
同じように、力むほどに、声帯は本来の仕事ができなくなり、
ピッチは下がり、すぐに声が出なくなったり、枯れたりします。
枯れた声がなんとなく歪んでいる声と似ているので、
それを「ロック声」と勘違いするだけです。
本当にうまいロックシンガーはファルセットも高音もばっちり出せます。
ピッチも実に正確です。
まずは、
呼吸の量とスピードを一定に保ち、
カラダをしっかりリラックスさせた上で、
呼吸の支えをつくっていくこと。
音量を上げずに、顔をゆがめずに、
シャウトの声が出るようになれば正解です。
さまざまな曲をコピーする中で、
徐々にコツをつかむのが理想的。
ただし、リラックスして発声することができないうちに
ディストーションをかける練習を集中的にするのは無謀です。
一生に一個しかもらえない大事な楽器。声帯さまを大切に!
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Comment
たまに弾き語りしてるおっさんですが、ロック声については20代のころから憧れていて、風邪ひきのガラガラ声をわざと高音で歌ってみたりとかやってしまいましたね。X japanとか。
アホなことしてたなー。
それでも ロック声 憧れてます。
とても参考になりました!
個人的にもっとロックシンガーについて教えていただきたいです!
そしてこれからはただガラガラ歌う事より、ヴォーカリストとして最低限必要な能力を頑張って身に付けたいと思います。
>ベルトさん
ありがとうございます。ロックのボーカルスタイルについては、これからもちょっとずつ書いていきますね!
>マツダ ミツトシさん
それすると、一生高い声出なくなっちゃいますから、気をつけたいですね。
でも、気持ちはよ〜くわかります。