「ひとりごと」のススメ
2015/12/20
「最近、どうも声が出づらいんです」
「すぐ声が枯れるようになった気がします」
「以前は、もう少し声が大きかったんですけど」
仕事をやめて家にこもるようになった。
人とあまり会わなくなった。
家族がそれぞれ独立して、ひとり暮らしになった。。。
そんな風に、静かな暮らしをするようになって、しばらくすると、
多くの人が、声の異変に気がつきます。
理由は、簡単です。
声のトレーニング不足です。
この世に生まれ落ちたその瞬間から、私たちはず〜〜っと声を出してきました。
「お腹空いた」、「うんちが出た」という赤ちゃん時代の叫び。
自我が芽生え、さまざまな欲求や要求を訴えるようになった幼児期。
友達と遊び、学校に通い、大きな声で騒いだり、笑ったり、歌ったり。
やがて就職し、さまざまな人に出会い、
恋をして、結婚して、家族ができて・・・
そんなライフサイクルの中で、声を出さなくなるのは、
仕事を離れる、家族と離れる、という大きな節目以降のことです。
(もちろん、声を全く使わない仕事をしている人には、もっと早いタイミングで、
この危機が訪れますが・・・)
使わなくなった筋肉は退化する。
発声に関わる筋肉も、使ってあげなければ、あっさり退化します。
まして、アクティブな生活から一転。
家にこもりがちになると・・・
1.姿勢が悪くなる
2.呼吸が浅くなる
3. 腹筋背筋が衰える
4.声帯回りの筋肉が柔軟性を失う 痩せる
5.全身に脂肪がつく
6.顔まわりの構音筋、表情筋が衰える
などなど、発声という運動をするのに好ましくないことが次々と起こります。
しかも、声を出す機会が極端に減るので、異変に気づきにくく、
気づいたときにはかなり進行しているということがほとんど。
「何十年も使ってきたものが、そんなに簡単に衰えないでしょう?」
という声が聞こえて来そうですが・・・
骨折して、ギブスで保護した足が4週間で驚くほどやせ細るように、
声だって、使わなければ、あっという間に衰えてしまうのです。
とはいえ、なかなか人に会えない。
家族は長電話をつきあってくれない。
発声練習なんか大事だ。
お稽古事に通うのも億劫だ・・・
そんな方たちには、私、「ひとりごと」を推奨しています!!!
「は?」(街の声)
ひとりごと=呆け、という風に結びつけて考える傾向があるようで、
「なるべく、ひとりごとを言わないように気をつけている」などという方も、
いらっしゃるようです。
でもね。自分と会話するのって、別に頭の中だけじゃなくても、よくないですか?
話し相手を自分にするだけなんだから、誰かに迷惑かけるわけでもありません。
ひとりごと、なぜ、いけないんですか?
ポイントは、ごにょごにょではなく、はっきり、くっきり話すこと。
テレビにだって、思いっきり、気持ちよく話しかけちゃえばいいんです。
発声は運動です。
自分のカラダを鍛えるのに、誰に遠慮することもありません。
誰かが一緒にいるときだけ、「今日はいつもと違うから、ひとりごと禁止!」
って思えばいいんです。
それも、いい訓練になるかもしれません。
楽しいひとりごと、解放していきませんか?
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