大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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痰がからむ声の不調、あきらめない!回復のステップ|18万PV記事の2025年最新版

      2025/08/12

コロナにかかってからノドの調子が戻らない。
ひどい風邪で声が出なくなって、何ヶ月も経つのに、いまだに回復しない。
「咳が止まらない」「痰がからむ」「声がガラガラ」…困っている人、ほんっとにたくさんいます。

しかし、声は必ず戻ります!

このテーマは、10年前に公開した記事『声の不調症状ランキングNo.1「痰がからむ」』が18万回以上読まれ、多くの方から反響をいただきました。今回は、その最新バージョンです。
ここでは、昨年末ひいた風邪の後遺症から、半年以上、ノドと声の不調に苦しんだ私自身の経験から、咳と痰に悩んだら、やってみるべきことをご紹介します。


 

■風邪をひいたら、まず、内科へ

「風邪かな?と思ったら、迷わず内科へいくこと」。
シンガーたちに、必ず言っていることばです。

シンガーに限らず、声をつかうお仕事をしている人で、風邪を市販薬で治していいのは、最低10日〜2週間、声をつかう予定がない場合だけ。

大切なのは、まず風邪そのものの根本治療。
ここを間違えると、声の回復は遠回りになります。
耳鼻科を選ぶ人も少なくありませんが、経験上、風邪の流行やそれぞれの症状に応じた薬を処方してくれるのは、やはり内科医。
信頼できる内科のお医者さんを見つけておくことは、声を仕事にする人にはマストです。


■しっかり治りきるまで油断しない

「処方された薬は最後まで飲みきること」は鉄則。
治りかけで、鼻水や咳が出始めたら、もう一度お医者さんを受診しましょう。
症状が変われば出る薬は変わります。

この時点で、声を戻そうと、がんばるのは逆効果。
よくない癖がついて、かえって声の回復は遅くなります。

ノドもカラダも、まだまだデリケートなため、別の風邪をもらいがち。
以下のケアを徹底しましょう。

・人混みではマスクをする
・鼻呼吸を意識する
・殺菌作用のある飴をなめる
・うがい、手洗いを徹底する
・軽い運動や入浴で新陳代謝をアップする
・栄養・水分・ビタミン補給を忘れずに
・睡眠はたっぷり

 

■咳が長引く!痰が出る!声が戻らない!

症状が2週間以上改善しなければ、思い切って呼吸器内科を受診してみましょう。
私もここで、原因をひとつずつ取り除く治療を受け、5ヶ月かけて、回復しました。

吸入薬や抗生物質など、その時々の症状に合わせて薬を組み合わせる丁寧な処方。
長引く痰とガラガラ声にウンザリして、「やっぱり年でしょうか?」と泣き言を言った時、先生は強い声で言いました。
「あきらめてはいけません。あきらめたら、負けです」

信頼できるお医者さんと出会うこと。
そのことばにしっかり耳を傾け、向き合うこと。
それが、回復への確実な道です。

 

■仕上げは、入念なリハビリ

咳と痰が落ち着いたら、少しずつ声出しをします。
大切なことは、「出るはずの声」を、いきなり出そうとしないこと。
長引いた炎症で、声帯様は弱っています。

ポイントは3つ。

・ファルセットと地声の間くらいの、バランスのいい声で
(「間の声」は、こちらで一瞬だけ解説してます→ https://x.gd/qDcN7
・ゆったり呼吸しながら滑らかに
・一定の音量、音色をキープして

ゆっくり、ゆったり歌いましょう。
ひっくり返っても焦らないで。

必要以上に息を強く押し出したり、声帯を強く閉じたりするのはNGです。
下腹の力が抜けがちなので、しっかり意識して。

楽に、滑らかに歌える音量が、今のあなたの適正音量です。
バランスをキープできるようになれば、だんだん声は戻ってきます。

回復には2週間〜2ヶ月ほどかかることもあります。
私の場合は、白湯と龍角散ピーチをお供に、軽い運動・ビタミン補給・ストレス解消を心がけたことも功を奏したか、気付けば痰はほとんど出なくなりました。

いかがでしょうか?
それぞれ、原因も症状も違うと思いますが、なにかのヒントになれば幸いです。


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