大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

ハスキーボイスには2通りある

      2018/08/27

ハスキーボイスといわれるシンガーは、その発声の特徴によって、
実は2通りに分かれます。

魅力的なハスキーボイスと言われるシンガーは、
高い声も大きい声も音色表現も自由自在です。
声にひずんだような、独特のニュアンスもありながら、
声帯は完璧に鳴っている。
仮声帯の振動が、
いわゆるハスキーなニュアンスを加えているのです。

一方で、いわゆるしゃがれ声、かすれ声のシンガーたちは、
声の実体が聞こえてこなかったり、声量がなかったり。
高い声やキレイな声が出にくいのも特徴です。
また声帯が弱く、長時間の歌唱に耐えられません。

しゃがれ声、かすれ声の原因はおおまかに以下の2つが考えられます。

〇声帯自体にポリープや結節などのトラブルがある。
または、
〇発声がうまくできておらず、声帯の振動にばらつきがある。

かすれ声、しゃがれ声に悩むクライアントさんには、
レッスン前に必ずメディカルチェックを受けてくださいと、お願いしています。

自覚がなくても、知らず知らず声帯にトラブルを持ってしまっている人も多いもの。
ノドにトラブルがある場合は、可能な限り声を出さずに、
治るまで安静にするのが一番と言われています。

ただし、アーテイストの場合、
多少のトラブルがあっても歌わなくてはならないので、
なるべくノドに負担をかけずに声を出す方法などを中心に
正しい発声を身につけるためのボイトレを行います。

一方、声帯の振動がうまく作れていない場合、
キレイな声を出すための呼吸トレーニングや、
呼吸を声につなげて行くトレーニングを徹底的にやります。

声=音=空気の振動
呼吸にムラがあってはいい声は出ないのです。

ポイントは、
呼気の量、スピード、圧力を一定に保って、
コンスタントに声帯を振動させること。

こう言うと難しそうですが、
簡単なトレーニング方法として、
スーーッと一定量の空気を出来るだけ長く吐き続ける練習が有効です。

その際、
「ス・・スス・・スシシ・・」のように息の音にムラができてはいけません。
「スシュ〜〜ッ」と一気に終わってしまうのもだめです。
一定の音、スピードで、
最高1分くらい吐き続けることを目安に練習してみてください。

腹式が・・・とか、面倒なことは考えなくても、
カラダが必要な作業はすべてこなしてくれますよ。

まずは呼吸。声を整える第一歩です。

 - The プロフェッショナル, 声のはなし

  関連記事

カツゼツッ!!!

普段はほとんど興味のないテレビですが、 さすがに昨今、 ニュースくらいは見ておか …

ビジョンとチームワークが作品力になる。

お城や寺院、教会などのような歴史的建築物や、 アイディアとエンタテインメントが詰 …

声が自分の顔になる。

小学校の高学年の時、流行の「深夜放送」というのを聞いてみたくて、 ゲルマラジオと …

「声が届かないって、こんなに自己肯定感を下げるものなんだ」。

何年か前のこと、 風邪をこじらせて、声がカッスカスになってしまいました。 よほど …

「与えるチカラ」と「欲しがるチカラ」のパワーバランス

音楽は人に感動やエネルギーを与えるもの。   音楽家であれば、誰もが多 …

挑戦か?ブランドか?

  従来のイメージを守り続けるか? それとも挑戦するか? アーティスト …

「プロじゃない」から、すごいんだ。

最近、セミナーや講演を通じて、 全国の音楽愛好家の方たちと接する機会が多くなって …

「いつものあれ」でお願いしますっ!

ずいぶん前のこと。 たまたまつけたテレビに、 ホイットニー・ヒューストンが出てい …

「選ばれる基準」

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」とは、 日本の最高額紙幣に印刷され …

誰に話しても「ウソぉ〜」と言われるOnline映像制作秘話②

まだセミアマぐらいだった頃、 映像系音楽プロデューサーの アシスタントをしていま …