大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

歌詞カードを丸暗記するより大切なこと。

      2016/10/27

本番直前になると、こういうブログを書いていることを、心の底から後悔します。

 

どうして、
「譜面がなくちゃだめって思う自分に疑問をもつ」とか、
「歌詞を覚えるのはボーカリストの基本」とか、
「プロなら、完璧に準備する」とか、書いちゃったんだろう。。。

 

そして、どうして、そういう記事ほど、「いいね!」が多かったんだろう。

 

後悔しながら、いろんなことをシミュレーションします。

こっそり歌詞カード見てもいいかな?
でも、目、あんまりよくないから、チラ見できないし、
どっちにしても歌に集中したら見る余裕はないしね。

結局、ガン見するか、覚えるかしかないもんね。。。

ぶちぶちぶちぶち。
『歌に集中するためには歌詞カードをガン見する!』って記事書いたろ〜かなぁ。
矛盾してるって、思いっきり、ディスられるだろうなぁ。
でも、それで炎上したら、ホントにガン見しても大丈夫になるかしらん・・・?

ぶちぶちぶちぶち・・・

 

そんなことを心の中でブラックジョークのように繰り返しながら、
しかし、結論はいつもと同じ。
本当にいいパフォーマンスができるときは、
歌詞カードを見るヒマがないどころか、
歌詞カードの存在さえ忘れるくらい集中している。

もっと言えば、
そもそも、自分が、歌詞を覚えているかどうかすら忘れて、
夢中で歌っています。

 

「あ、歌詞なんだっけ?」と丸暗記した歌詞カードに思い巡らす時点で、
集中はとぎれているわけです。
もちろん、演劇にも朗読劇のようなものはありますから、
そうしたコンセプトなら、それもいいでしょうが、
少なくとも、通常の演劇で、カンペを見ながらセリフを言う人はいないはずです。

 

ことばがふっと抜け落ちる瞬間は日常話していても、誰にも起こりえます。
そんなとき、ことばを探す瞬間のような、
一瞬のためらいのような瞬間はあってもいい。

 

でも、「え〜っと、なんだっけ」となったときに、
自分の中から、すでに消化されたことばが出てくるか、
それとも、自分の丸暗記した歌詞カードの字面の中からことばを探すのかでは、
伝え方、伝わり方に雲泥の差があるのです。

 

極論をすれば、ポピュラーの世界では、
歌詞カード通り歌わなければいけないということすらない。
画面に歌詞のテロップが表示されるような、テレビやDVDの収録ならともかく、
オリジナル曲はもちろん、カバー曲でも、大事なことは、
正確に一字一句間違えずに再現することよりも、
感動を伝えること。表現すること。

 

「愛してる」というべきところで、
思わず出てきたことばが、
「あなたがすべてなの」でも、
「あなたじゃなくちゃダメなの」でも、
伝わる想いが同じなら、それでいいのではないか。

 

歌う時に本当に大切なことは、
歌詞カードを丸暗記することではなく、
自分が歌う歌の魂を自分の中に宿すこと。

 

だから、カラダにしっかりとことばを刻み込むしかないのだ。

 

毎度毎度、自分自身にかけ続けるプレッシャーと戦う勇気とエネルギーのあるうちは、
まだまだ、やっぱり、がんばるしかないのだ。

 

そして、こんなことを書きながら、また心の中で叫ぶのです。

まったくもぉ〜〜。
何また、こんなこと書いてんのよぉ〜〜。
どうすんのよぉ〜〜。

ぶちぶちぶちぶち。。。

 

Just do it.

それだけですね。。。

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