手指のように声を操る
指差す。つかむ。運ぶ。数える。挟む。
はじめはやや不器用に、やがて思い通りに、
「手」は、生活を助けてくれます。
成長とともに、手に対する要求は高まります。
箸を使う。文字を書く。球を投げる。
そんな、ちょっと訓練を要することから、
楽器を演奏する。絵画を描く。包丁を操る。。。。などなど、
専門的な練習を必要とするようなことまで。
手指が自在に動くのは、生まれてから今日に至るまで、
積み重ねてきた訓練のおかげです。
こぼさないように。落とさないように。壊さないように。潰さないように。
数限りない失敗を乗り越えて、
あきらめることなく、飽くことなく、
ひたすら訓練を積み重ねてこなければ、
きっと今でも、思うように、
鉛筆も、ナイフフォークも、スマホも、
使えなかったに違いありません。
ある特定の目的を果たすために、必要な筋肉を、バランスよく使えるようになること。
トレーニングの目的はこれに尽きます。
声のトレーニングも同じです。
物を口に運ぶなどの動作と同じように、
私たちは、原初的、基本的な発声を、本能的に学んできました。
しかし、声の強弱や高低を操る。ことばを発音する。音色を変える。
・・・などなどは、
カラダの中の細かな筋肉たちが、
自分が描いたイメージ通りに、バランスよく動いてくれて、
初めて実現することです。
飽くことなき、忍耐強いトレーニングがあって、
初めてカラダの細部とのコネクションが生まれる。
さらに、プロフェッショナルとなれば、
自在に動くようになった筋肉を、いかに繊細に、厳密に動かして、
イメージ通り、もしくはイメージを越えるようなパフォーマンスをするかが、
勝負になります。
まずは、そこに「手」が存在していることを確認するように、
「声」と、「声を生み出す器官」の存在を意識すること。
意識を研ぎ澄ますことから、トレーニングははじまります。
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