ヴォーカリストがリハーサルの前に最低限準備すべき3つのこと
昭和音大では『アンサンブル』という授業を受け持っています。
アンサンブルというと、なんだかオシャレで、
ものすごく高尚なイメージですが、
シンプルに、日本語で言うなら、「合奏」。
ドラム科、ベース科、キーボード科、ギター科、そしてヴォーカル科が、
(時に管楽器科の生徒も混じって)
一緒に演奏をして、それぞれの楽器の精度を高めたり、
合奏する上で必要なセンスやテクニック、コミュニケーションを磨く、
という授業です。
目的は同じでも、受け持つ講師によって、
スタイルも、重視されるポイントも違うのが大学の授業の面白いところ。
昨年に引き続き、
今年もギターの末原康志さんとご一緒に担当させていただくことになり、
ロック色が強い授業になりそうです。
担当しているのが2年生ということもあり、
何よりも、重視して指導しているのは「準備の大切さ」。
個々のレベル、精度を上げるためには、
ヴォーカルと楽器の授業を個別に行って、
何回かに1度、合同で・・・という授業方法が有効で、
私も受け持った当初はそうしたスタイルを取ってきました。
しかし、受け持ってみて、はじめて、そうした「丁寧な指導」に甘えて、
ろくに準備しないで授業に出てくる生徒たちがたくさんいることに気づきました。
ちょっと待て!です。
最低限必要な、アンサンブルのための準備もできないなんて、
音楽人としてあってはならないことです。
そこであえて、2年生は、「オール合同レッスン」というスタイルにして、
準備力や、コミュニケーション力、そして音楽の楽しみ方を中心に、
指導をするという、スタイルに切り替えたのです。
そこで今日は、アンサンブルの生徒たちに必ず伝える、
「ヴォーカリストがリハーサルの前に最低限準備すべき3つのこと」をお送りします。
1.資料をきちんと準備する。
よほど何年もバンドと一緒に歌い込んでいて、
構成も歌も、完璧にカラダに入っているという曲以外、
どんな曲でも、リハーサル中に必ず、
なんかしらの変更事項、確認事項があります。
そうした打ち合わせ事項を書き込むための歌詞カードや譜面のたぐいは、
よほど完璧な記憶力を持っているのでない限り、絶対準備すべきです。
また、リハーサルで歌っていると、なんかしら、気づきがあるものです。
そうしたことを細かくメモしたり、書き残したりすることは、
上達のため不可欠です。
いつまでも上達しない子ほど、歌詞カードが綺麗なままです。
上達する子は、歌詞カードにたくさんの書き込みがあったり、
自分なりの手書きの歌詞カードがあったり。
スマホで見ながら・・なんて百万年早いのです。
もちろん、録音することが大切なのは、これまた当たり前です。
2. 曲の構成をしっかり把握する。
当たり前ですが、リハーサルは、自分が練習する場所ではありません。
1人1人の練習の成果を確認する場所です。
ヴォーカリストがイントロのサイズや間奏のサイズを間違えずに歌い出すのは、
基本中の基本。そのまた基本。
楽器の人たちの、リハーサルの事前準備の大変さに比べて、
ヴォーカリストが確実に準備すべきことは、
これしかないと言っても過言ではありません。
「ちゃんと歌い出す」。
「ちゃんと歌い終わる」。
わからなければ、リハーサル時、歌い出す前に確認する。
あー、なんてシンプル。
3.曲を覚える。
「え〜〜!?あったり前じゃ〜ん!?」
と、思いますよね?
私も、もちろんそう思いますが、
実は、「覚えているつもり」でリハに来ちゃう子、めっちゃ多いのです。
日頃、オリジナルなどの歌手と一緒に歌っているから、
キーは確実に取れるし、歌えているつもりになる。
いざバンドと歌おうと思ったら出だしの音がわからない。
メロディが曖昧。
歌詞のハマリが曖昧。
オリジナル曲だから歌えると思っていたら、
意外にも、バンドとやったら自分の曲が全然わからなくなった・・・etc.etc.
一所懸命リハーサルの事前準備をするほどに、
リハーサルで、せ〜ので合わせたときの快感が、そのご褒美になるものです。
あぁ、それなのに、
ヴォーカリストが音痴だったり、リズムがずっこけてたり、
声が出てなかったりしたら、
バンドのメンバー、全員が気になっちゃって、
快感どころか、フラストレーションためたままリハーサルを終えることになります。
リハーサル前に準備すべきこと。
実は書き出すと止まらないくらい書きたいことがあるのですが、
まずはこの3つ。
当たり前すぎて書くのも恥ずかしいことばかりですが・・・
ま、念のため(^^)
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