カツゼツッ!!!
普段はほとんど興味のないテレビですが、
さすがに昨今、
ニュースくらいは見ておかなくちゃと、
テレビのスイッチを入れます。
日々、ニュースを見ていてがっくりくるのは、
日本の政治家さんの演説の聴き取りにくさ。
声がこもって通らない、
ガラガラ声である、
トーンが高すぎて信頼感がない、
声に表情がなくてウソくさい・・・
なんと言っても、
カツゼツが悪いのは致命的です。
周到に準備した台本で、
いいこと言っているはずなのに、
肝心の決めぜりふや、
数字がくっきり聞こえてこない。
あえてどなたと名指しするつもりはありませんが、
(今日の今日書いているので、
みなさんわかっちゃうと思いますが)
これほどもったいないことはありません。
スピーチを聞いていて、
聞き取りにくい言葉がでてくると、
聞き手の思考はそこで止まってしまいます。
「あれ?なんてった?」となって、
肝心の語尾を聞き損ねたりする。
それでも、
一言、二言聞き取りにくいことばが混じっているくらいなら、
聞き手の心理に与える影響は少ないものですが、
あまりに聞き取りにくいことばが頻出すると、
聞き手がだんだんフラストレーションを感じてきます。
あげく、話している内容そのものよりも、
カツゼツに耳が行くようになってしまう。
こうなると、どんなにいいことを言っても水の泡。
スピーチが終わった後に、
「しかしカツゼツ悪いね」という感想だけが残ったりします。
カツゼツは、
呼吸力低下
構音筋=発音のための筋力低下
緊張
肥満
という条件が重なると、
どんどん悪くなってしまいます。
カラダを使ってバリバリ仕事をしていた人が、
PC作業中心のデスクワークになって
何年かしてから、急にカツゼツが気になり出す、
というのは、非常によくあるパターンです。
加齢でも全身の筋力は落ちます。
そこに肥満が重なれば、
運動能力がぐっと落ちるのは、
構音筋も同じなのです。
さらに、姿勢力が落ちることで、
呼吸が浅くなる、
軸がうまくつかえないから、
緊張すると上半身に力がはいる、
するとなおさらカツゼツが悪くなる・・・
といったメカニズムです。
諸外国の政治家たちは、
ヴォイスコーチなどについて、
声やカツゼツのトレーニングを確実にやっています。
話し手の「説得力」は、
なにを言うかよりも、
どう話すかにかかっています。
あのヒットラーにもヴォイスコーチがいたといいます。
彼のカリスマティックなスピーチの力がなかったら、
ドイツという国はあんな方向に突き進むことはなかったかもしれない。
そう思うと、
まぁ「この人大丈夫かなぁ」と思ってしまうくらい、
カツゼツの怪しい政治家さんくらいの方が、
国民の判断力を鈍らせないのかもしれませんね。
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