大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

リモートはコミュニケーションのハードルを上げた。

   

最近、連日のように受ける側として、
オンラインセミナーに参加しています。

学ぶときは一気に学びたい方なので、
自宅に居ながらにして、
気になる講座を片っ端から受けられることには、
感謝感激の日々です。

しかし、たくさんの方のお話を聞けば聞くほど、
声そのものが気になってしまう、職業病の私。

ほほう、なるほどと、聴き入ってしまう、
聞きながら、思わず笑顔になってしまう、
説得力のある話者がいる一方で、

聞き取りづらい、
何を言っているのかわからない、
妙に暗い、
キンキン耳につきすぎる、
なんだか年齢を感じる・・・etc.

そんなことが気になってしまう、
残念な話者が、たくさんいるのです。

声は、聞き手の、意識する、しないに関わらず、
話者に対する好感度や親近感を左右しています。

リモートの世界では、
本来そこにあるはずの空気感やニオイのような、
人間が無意識に受け取っている情報は、
すべて削ぎ落とされてしまいます。

残るのは、
二次元化された視覚情報と、
音の情報、すなわち、「声」だけ。

声が担う役割が、
圧倒的に大きくなって、

声の好感度が人気や評判を左右する「声格差」が、
確実に広がっていくな、と、感じています。

リモートで真っ先に気をつけなくてはいけないのが、
電波状況。

電波状況が悪いと、
ことばが途切れる、声の音色が安定しないなど、
聞き手は大きなコミュニケーション・ストレスを感じます。

次が、もちろん、マイクです。

これね、もうね、もんのすんごい大事なんです。

なんでもいいやと思っている人、
ルックス重視で買っちゃった人、
ハンズフリーになればいいか、と思っちゃった人、
マイクなんかにお金かけなくていいや、と思う人。

気持ちはわかりますが、
ぶっちゃけ、
そこにお金かけないで、どこにかけるんですか、
というくらい大切なのがマイクです。

これだけは、口コミをよく読んで、
ちゃんと選んだ方がいい。
そして、必ず、本番前に、テストをした方がいい。

マイクの使い方=マイキングは、
本当に難しくて、
これに関しては、私自身もまだまだ試行錯誤の真っ最中ですが、
そのぶん、習得すればメリットは絶大です。

そして、自分の声を、
必ず、そのマイクで録音してチェックしてみてください。

声の音色は自分で選んでいるのです。
「生まれつき」と思い込むのを一旦やめてください。

「自分の声が嫌いだから」と、
聞いて聞かぬふりを決め込むのは言語道断です。
「自分が嫌いな声」を延々と聞かされる、
聞き手の身にもなりましょう。

自分の声が嫌いと思ったら、
真っ先に、どういうところが嫌いなのか、
どうなったらよいのか、
どんな声が理想なのか・・・

ちゃんと向き合う。

声は話の一部であり、全部です。
ここから目をそらしていては、
どんなにいいコンテンツをつくっても、
伝わりきらないのです。

そんなことが、
リモートの世界になって、
ぐっとクローズアップされてきました。

声は自分のブランドであり、
自分自身をプレゼンテーションしてくれる、
大切なバディ。

声をつかってお仕事をする人すべてに、
一度、真剣に考えてみて欲しいことです。

 

通販トークアドバイザーの稲垣玲子氏とのZOOMコラボセミナー、“「思わず、買ってしまう」を 演出する 心に刺さる伝え方”。知っておきたいセールス・トークの極意と、「伝わる声」のお話を圧倒的な情報量でお届けする3時間セミナーです。

 - B面Blog, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, ビジネスヴォイス

  関連記事

「習うより慣れろ」vs「慣れるより習え」

「歌なんか習う必要ないでしょ? かえって個性殺されちゃうから、やめた方がいいよ。 …

とりあえず飛び込め~Singer’s Tips #32~

うまくなったら、バンドやりたい。 いい曲書けたら、音源つくりたい。 自信がついた …

なんで、ずれないんですか?

レコーディングの現場で頻繁につかわれることばに、 「ダビングする」、「ダブる」、 …

「じっくり聴けない人」の3つの言い訳

歌の上達のポイントは、音源をじっくり聴いて、 そこから可能な限り、たくさんの情報 …

折り紙と「完コピ」。

腎臓病という病気は何にも食べられない。蛋白も塩気もいけないのだ。これは子供の身に …

人間がカラダをつかってやることの基礎って、すべて同じなんだ。

うん十年ぶりにスキーというものに出かけてきました。 ぶっちゃけ、学生時代に友だち …

カラダを楽器に「最適化」する。

「タマゴが手の中にあるように、 そーっと鍵盤の上に指を乗せるのよ。」 中学になっ …

「自分の声の地図」を描く

「あなたの音域はどこから、どこまで?」 「え?」 「高い方はどこまで出るの?下は …

「一音」にこだわる

「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …

「オリジナリティ」ってなんなのよ?

「○○って落語家はすごいんだぞ。 一流と言われた落語家をぜんぶ研究して、 みんな …