「選択」が、人をつくる。人生を、決める。
「選択」が、人をつくる。
人生を、決める。
持って生まれた「器」は、もちろんあるでしょう。
「運命(さだめ)」というファクターも、否定しません。
でも、やっぱり、人は、人生は、選択の連続で、決まっていくのだと思うわけです。
「選択する」ということは、単に、「歌手になろう」とか「作家になろう」とか、思うことではなくて、
歌手になる道を選択する。
作家になる道を選択する。
そうやって、選んだ道を歩きだすこと。
かつて、よく父と一緒に山歩きをしました。
山って、登ると決めて歩きはじめたら、どんなに辛くても、「登り切って下山する」しか選択肢はないんですね。
「しまった!キツい!」と思う頃には、引き返すには遅すぎる。
立ち止まったら日が暮れる。
「道に迷ったのでは?」と思うことも、実際、迷ったこともあります。
それでも、登ると決めて歩きだした時点で、完走することは決まっているわけです。
中学生の頃、「ピアニストになりたい」と思っていました。
毎日何時間もピアノの前に座って、ずいぶん練習しました。
でも…とピアノを弾きながら毎日考えるのです。
ピアノをはじめたのが遅すぎたんじゃないか?
手が小さすぎるんじゃないか?
ホントにピアニストなんかになれるのか?
で、だんだん、「あきらめたほうがいいのかも」という気持ちが湧いてくる。
気づけば、興味が別の楽器や歌に移っている。
ピアノの練習時間より、レコードを聴く時間の方が長くなる。
つまり、「ピアニストになる」というのは、単なる思い込みであって、「選択」ではなかったんです。
一方、「音楽でプロになる」ということは、同じ頃から決めていたことです。
ピアノじゃない、ギターじゃない、そっか歌なのか…と、道に迷いながら、それでも確実に「プロになる」という道を歩いていたということ。
「歌のプロ」というルートを選んでからは、言い訳したり、自分を慰めたりすることも、別の仕事の興味が移ったこともありません。
登り始めた道。引き返し方を知らなかったとも言えます。
その時の選択が、今の私をつくっています。
「歌のプロ」という道を、私なりに登り切ったところに、
「ヴォーカル・メソッドをつくって、世の中に広める」という新たなルートが現れたわけです。
ものを書くことも。
人前で話すことも。
教えることも。
ぜんぶその道を歩き続ける中で、学んだこと。
そう考えると、私は、あのこどもの頃に選んだ道を、もう半世紀も歩いているんだなと、思えるのです。
少し前まで、自分はいつしか、「歌のプロ」とは違う道を歩きはじめちゃったんだなと、自嘲を込めて考えていました。
「教えるプロ」は、別のキャリア。
メソッドをつくること、それを広めることに躍起になって、知らない間に、「私は歌のステージを降りた、もうプロとは言えない」という感覚になっていました。
実際、音楽家だった頃は、24時間365日、歌のこと、曲のことばっかり考えて生きていました。
その、24時間365日を、メソッドづくりに費やしてきたのだから、そう感じるのは当然です。
しかし、です。
BootCampという講座ができ、20年がかりで創り上げてきたメソッドが、ついに形になった!と思えた時、
これは私が、歌と向き合い続けた「歌のプロ」だからこそ創りたかった、だからこそできたメソッドなのだと気づいたんです。
いや、やっと気づけるところまできた、ということなのかもしれない。
いろんなことをやってきました。
会社をはじめたり、出版の世界に足を踏み入れてもがいてみたり、
人に求められるままにはじめたことや、思い先行でスタートしたことで、がんじがらめになって、身動きができなくなったことも、批判を受けて悩んだことも山ほどあります。
別世界に来ちゃったよなぁと、遠い目になったこともあったけど、いやいや、結局私が歩いてる道はずっと一緒。
ず〜っと、ヴォーカリストMISUMIという人生を生きてるんだなと。
先日イギリスを旅しながら、自分を育ててくれた音楽を聴きまくっているうちに、そんな思いがめちゃくちゃ強くなりました。
分岐道からまた本筋に戻って来たのかもしれません。
歌っている私は、本当に強い。
うまく歌えなくても、評価されない時があっても、自分ができることがわかってる。
腐ったり、凹んだりする暇があったら、練習すりゃいい。
そんな自分に、もう一回戻って来た思いです。
なんとなくやっていたことや、モヤモヤしながら続けていたことを全部整理する。
本当に大切なもの、大切な人だけを、めちゃくちゃ大事にする。
持っているものを、さらにさらに磨いて、必要としてくれる人に、最高の形で届ける。
今、静かな決意を新たにしています。
余計なことに使っている時間は、もう残ってないからね。
日々入魂。
振り切っていきましょう!

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