大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

誰かに「習う」前にやるべきこと、できること。

   

楽器や歌をはじめたいと思うと、
「とりあえず、スクールや個人の先生を探さなくちゃ!」と、
思ってしまう人が多々います。

もちろん、長年ノウハウを構築してきた先生につけば、
自分が何ヶ月も試行錯誤しても身につけられないような、
テクニックやフィーリングを教えてくれるかも知れません。

先生の言うとおり、一所懸命練習すれば、
そこそこ、弾けるようにも、歌えるようにもなるでしょう。

 

目的が「楽器を弾けるようになりたい」
「歌を楽しく歌いたい」という、
ざっくりしたものであれば、それもいいかもしれません。

小さいこどもであれば、
我流で練習させて、変な癖をつけるくらいなら、
最初から正しいフォームで学んだ方がいいというのもわかります。

 

しかし、です。

 

中学生、高校生以上になって、
楽器をはじめたい、歌をはじめたいなら、
人に習う前にやるべきこと、できることは山ほどあるはずです。

とりあえず楽器を手に入れる。
さわってみる。
音を出してみる。
楽器のことを知ってみる。

歌なら、いろんな人の歌をどんどん歌ってみる。
自分の歌をちゃんと録音して聞いてみる。
 

クラシックをやりたいならいざ知らず、
ポップスやロック、R&Bなどの音楽をやりたいなら、
とにもかくにも、自力でどんどんその音楽を掘り下げたり、
楽器のことを研究したりと、
まずは自分なりに練習するのが一番です。

この時代、初心者が知りたいことの答えは、
全部インターネットの中にあります。

情報が多すぎて迷うかもしれません。

しかし、それは、人に習ってもおなじです。
スクールも個人レッスンも、結局は講師依存の音楽教育。

教える側の能力やセンスによって、
どんなレベルの、どんな傾向のプレイや唱法を学べるか、
大きく左右されます。

 

自分自身で情報を選び取る力をつけることは、
いい講師に出会うためにも非常に大切です。

 

あーでもない、こーでもないといじくりながら、
自分なりの方法で練習をしてみる。
そこそこ、音が出せるように、
そこそこ、演奏できるように、
とにかく練習してみる。

練習の成果を人に聞いてもらう。

ぼろくそ言われる。

また試行錯誤しながら練習する。

・・・そんなことを繰り返して、
行き詰まったらときこそが、
いよいよ、スクールの門の叩き時です。

 

行き詰まるまでやるから、
自分にとって何が必要かわかる。
自分が求めるものがわかる。

ゴールが見えない、
行きたい場所がわからない状態で、
誰かに「手を引いて」と頼むのでは、あまりに丸投げです。

何をやりたいのか?
どんな音楽をやりたいのか?
何が好きなのか?
そして、何をやりたくないのか?

その答えを自分自身でみつけられなければ、
結局どこにもたどりつけません。

 

教える側にできることは、
「やりたいこと」を全力でサポートすること。
それだけなのです。



◆ 9月30日(土)ヴォーカリストに必要な基礎トレーニングのすべてを12ユニットで学ぶ【第4期 MTLヴォイス & ヴォーカル レッスン12】お申し込み受付開始。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コアでマニアックなネタを中心に不定期にお届けしているヴォイトレ・マガジン『声出していこうっ!me.』購読はこちらから。

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 夢を叶える

  関連記事

歌と「向いてない」とクソまずいケーキ

「歌がうまくなりたいんですけど、なにをしたらいいですか?」 と質問されると、反射 …

「やりたい」から、やる。以上。

やりたいと思ったら、もうできる気しかしなくなる。 こどもの頃からの、私の思考のク …

「バンマス・マニュアル」を作成せよ! <バンド結成編>

音楽好きの仲間と集まると、 「バンド組みたいよね〜」と、やたら盛り上がるのに、 …

うまくなる人。ダメな人。

「歌は、誰だってうまくなる。」 20年にわたるヴォーカル・トレーニングを通じて確 …

歌も演奏も一瞬で上達する華麗なる方法

長年にわたり、音楽学校や音楽大学で、 学生のアンサンブル授業を担当してきました。 …

「正しい演奏」と「いい演奏」とは、全然違うことなんだ

こどもの頃、「音大生」というものに、 本気で憧れていました。 少女漫画の読み過ぎ …

バンドとカラオケは全然違うっ!

カラオケ育ちの若者たちは、バンド内のコミュニケーションが実に苦手です。 &nbs …

働こう!ガールズ!

何十年かぶりに、ハリソン・フォード、シガニー・ウィーバー、メラニー・グリフィスと …

「認められたい」という思いを叶える方法

「音楽ビジネスって、社交クラブみたいなものなのよ。 一度中に入れば、そこから自然 …

リズムをカラダで感じるための初歩練習~Singer’s Tips#28~

音楽にあわせて足踏みをする。 手を叩く。 小さなこどもが音楽教室に入って、 一番 …