「もっと遊べ!」という謎のワード
2016/10/27
「MISUMIちゃんは、もっと遊ばなくっちゃ。」
来る日も来る日も歌のことばかり考えて、
寝る間を惜しんで必死に練習し、ダンスやピアノのレッスンに通い、
レッスン代と機材のローンとスタジオ代を払うための、
バイトに明け暮れていた、愛しのフリーター時代、
歌を習っていたスクールの先生に、そんなことを言われました。
遊ぶ?
当時の自分にとって、こんなに謎なワードはありません。
遊ぶって、何して遊ぶんだろう?
遊ぶって、楽しいことをすることなんじゃないの?
クラブに行って踊ることも、お酒を飲んで歩くことも、
友達と買い物に出かけることも、
スポーツも、ゲームも、レジャーも、興味がない。
音楽が好きで、歌が好きで、曲を書くことが好きで、
できるなら24時間、そのことばっかり考えていたい。
少しでもうまくなって、プロになりたい。
そんな風に、音楽に夢中になりすぎて、
気がつけば彼氏も自分の元を去り、
唯一、「好きな遊び」と思えたデートさえ、
する相手もいなかった頃です。
「遊ぶ」の意味も、「遊ばなくっちゃ」と言われる意味も、
正直さっぱりわからなくて、途方に暮れました。
おとなになって、振り返って、それは、
「必死感が漂いすぎてて、面白みがない。
くそ真面目過ぎて、魅力がない。」という意味だったのだと、
わかりました。
だから「遊べ」、ということだったのでしょう。
練習ばっかりしてないで、
もっと深みや奥行きのある人間、
魅力的な人間になるための修行をしなさいと。
確かに、魅力のない人間の歌う歌が、魅力的であるわけがない。
くそ真面目な人間のつくる音楽は、
やっぱりくそ真面目で、面白みがありません。
しかし、この「遊ぶ」の定義は、
夜遊びをしたり、ディズニーランドに行ったり、
ゲームセンターで時間をやり過ごすこととは全然違います。
安心、安全領域から出て、
心臓のバクバクするような、新鮮な体験をすること。
魅力的で、刺激的な人と出会って、
見たこともない世界への扉を開いてもらうこと。
内側にばかり向いていた感性を外側に向け、
出会いや旅や、たくさんのリアルな体験を通して、
自分自身の可能性を切り開いていくこと。
そんなワクワクした日々が、
深みや奥行きのある人間へと、自分を成長させてくれるのです。
とはいえ、「想像もつかない世界」を体験するには、
まず、その世界の存在を見つけなくてはいけません。
目を開いて、ドキドキの種を探す。
未知の世界、ワクワクする情報へのアンテナを立ててみる。
そこからスタートですね。
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