大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「あなたのアイドルは誰ですか?」

      2016/01/17

「あなたのアイドルは誰ですか?」

 

いえいえ。

今日は、「ルックスが好き!」とか、
「異性としてステキっ!」というような、
俗に言う「アイドル」のお話ではありません。

ここでいうアイドルとは、崇拝する人。
自分にとって、最高にカッコよくて、追いかけたい存在。
自分自身の、アイドル・ミュージシャンのことです。

マライヤ・キャリーだという人もいれば、
斉藤和義だという人もいるでしょう。
ELTかもしれないし、ジェフ・ベックかもしれない。

自分にとってのアイドルは、自分を高揚させ、奮起させ、
元気づけ、笑顔にしてくれます。

お手本になり、ゴールになり、ライバルになり、
自分を押し上げてくれたり、引っ張り上げたりしてくれます。

学校などでこの質問をすると、申し訳なさそうに、
「え〜と、洋楽じゃないんですけど・・・」と前置きをしたり、
「アニメ系なんですけど・・・」
と卑下したりする人がいて驚きます。

中には、本当はaikoや椎名林檎が好きなのに、
無理矢理、技巧派の洋楽のアーティストの名前を言う子さえいます。

ハッキリ言います。
何を好きだって、恥ずかしくないっ!

って言うか、音楽に卑賤も上下もないっ!

「え〜。そんなの聴いてるの〜?あたしは嫌いっ!」
っていうのはあってもいい。
それはお互い様ですから。

でも、聴いちゃいけない音楽なんて日本には存在しないわけですから、
恥ずかしがる理由はひとつもないはず。

それでも、なんだか言いづらい、言いたくないと感じる時は、
その理由を、改めて分析してみることも大事です。

自分が表向き、目差しているものと、心の底から大好きなものに、
ギャップや矛盾があるのかもしれない。

自分がいる周囲の環境が、
本来の自分を受け入れてくれないのかもしれない。

実際にやっていることに、
100%力を注げていない後ろめたさなのかもしれない。

その理由に気づけたとき、もう一歩前進できるはずです。

 

とはいえ、最近たびたび出会う、
アイドル不在の子たちよりは、アイドルがいるだけいいでしょう。

お金を出して音楽を買ったことがない。

テレビやネットで流れてくる音楽を聴いて、
なんとなくやってみたいと思った。

人から勧められるままに、名前も知らない人たちの歌を
なんとなく聞き流している。
そんな人に、出会うと、時代の変化をしみじみ感じます。

音楽で高揚したことのない人に、
音楽の高揚感を表現することはできない。

音楽で心動かされたことがない人に、
人の心を動かすことはできない。

心躍る出会いを求めて、
もっともっと音楽とふれ合って欲しいなぁと思うのです。

あなたにはアイドル、いますか?

28306863_s

 - 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 夢を叶える

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

オーディションで、勝ち残る

アーティストやその卵たちのレッスンでは、折に触れ、ここ一番の緊張感に包まれる時期 …

「逃した魚」は、きっと毒入り!?

「チャンスの神様には前髪しかない」(Seize the fortune by t …

「切り替え」と「集中」で精度を上げる!

インプットとアウトプットを、 高い精度で両方一度にこなせるという人は 一体どのく …

毎日が勝負パンツ!?

「勝負パンツ」というインパクトのあることばがあります。 もちろん、言わず知れた、 …

ちゃんと「聴く」!

さて、音源を買ったら、次にすることは当然「聴く」。   この「聴く」が …

「やってみたいこと」を「できること」「やったこと」に変える

「やってみたい」と思うことは、いくつくらいありますか?   特定の場所 …

時間には密度があるんだ

今日のレッスンで、 「10000時間の法則」の話をしました。 じっと聞いていた彼 …

リズムが悪いんじゃない。カツゼツが悪いんだ。

昨夜、ヒップホップグループN.W.Aの伝記的映画、 “Straigh …

基礎を忘れるために、基礎を学ぶのだ!

ボイトレが一番チカラを発揮するのは、すべてを忘れて、表現に没頭するとき。 フォー …

その時間を「練習」と感じるか、感じないか。問題はそこです。

「毎日、何時間勉強してる?」 「なにやってるの?問題集?」 試験前になると、 成 …