大槻水澄(MISUMI)ブログ 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「本気で好き」ということ。

   

「歌が好きなんです。
本気でシンガーになりたいんです。」

そんなことばを聞くたびに、正直、あぁ、またか、とげんなりします。

 

情熱的にそう語る子に限って、
その後、「でも・・・」とことばが濁るのです。

「親が反対している。」
「自分にはそんな実力はない。」
「将来が不安で・・・」

 

で、毎日どう過ごしているの?と訊ねると、
「歌っています!CD聞きながらず〜っと歌ってます。
カラオケ行ったり。お風呂とかでも歌います。」とくる。

では、何を歌っているのかと聞けば、

「いろいろです。好きな曲をどんどん歌っちゃって、
気がつくと結構時間が経っちゃってて。。。」

 

ふーん。
それって、歌が好きな人なら誰でもやることじゃない・・・?

 

こう言うと、「あなたなんてこと言うの?」的反応をされるのですが、

この世の中で、歌が好きで、
毎日のようにカラオケに出かけて、
好きな歌を友達と次から次へと歌っている子が、
一体何人いるでしょう?

もちろん、その中から、
本気でうまい子も出てきますから、
無意味だと言っているわけではありません。

ただね。

シンガーというのは特別な存在です。
そうやって「歌が好き」という、みんなの憧れです。

誰もがやっている、楽しいことしかやらないで、
いつか特別な存在になれるのじゃないかという思考回路は、
なんとおめでたいと感動してしまうわけです。

 

本気で歌が好きで、シンガーを目指している子というのは、
「本気なんです」とか、
「毎日一所懸命歌っています」的なことは、
いちいち言いません。

そんなことばを言う必要がないくらい、
本気が伝わってきます。

 

曲をつくるのが止まらない。
バンドでがんがんライブをやっている。
どんどん歌ってはSNSに投稿している。
オーディション受けまくっている。
レッスンに通ったり、人に会いまくったりしている。
デモを次々つくっている。。。。

 

彼らの身を切るような思いが、
ひしひしと伝わって来て、

すごいなぁ、本気で好きなんだなぁ、
なにか手伝えることがあれば、
何だってやってあげたい、という気持ちになる。

「本気で好き」は、人を動かす。

 

プロになっていく人って、
活躍する人って、
結局、その「本気」で人を動かす人なんじゃないか。

 

「本気なんです」って、人に言うのをやめてみる。

言い訳するのをやめてみる。

ガッツリ何かに取り組んで、
人に「本気だな」と納得させる。

誰かに、「お前、本気だろ?」と言わせてみる。

 

そのくらいじゃないと、誰も動いてくれません。

「本気で好き」って、そんなエネルギーなんですね。

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