「やりたい」と「できる」と「やる」
「音大目指すなんて、今からじゃ無理よ」
中学2年の時に、
とある音楽教室の先生に言われました。
当時の私は「音楽家=音大出のエリート」と思いこんでいて、
ポール・マッカートニーだって絶対音大に行ったに違いないと、
本気で信じていました。
ピアノをはじめたのは中学1年の夏休み。
碌な音楽的素養があるわけでもないのに、
ただ漠然と、音楽家になりたい、ピアニストになりたい、
音大に行きたい、などという夢を描いていた私。
その先生曰く、
音大のピアノ科に行きたいなんていう子は、
3才〜5才くらいから英才教育を受けている。
「聴音だって、初見だってできなくちゃダメなの。
和音を聞いて、即座になんの音を弾いているか、
みんな、わかるのよ。」
だから、ポピュラーピアノをやりなさい。
そう、先生に言われるままに、
それからは、ポピュラーピアノを中心に、
レッスンを受けるようになりました。
しかしね。
なんか、中途半端なんです。
だって、ドビュッシーやラベルの音が好きだからピアノを弾きたいのに、
映画音楽やら、ディズニーやらの曲を弾くわけです。
映画音楽やディズニーは、
あの映像とサウンドあってこその音楽。
どんなにピアノで気分出して弾いたって、
あの広がりや深みが出せるわけもないし、
そんなスコアが書けるようになるわけでもありません。
やがて夢中で聞くようになった、
ブルーベックやバド・パウエルのような、
濃厚でスリリングなピアノが弾けるようになるわけでもない。
そこそこがんばって練習しましたが、
やがて、音楽的にたまらなく退屈になって、
再びクラシック、そしてフュージョン、クロスオーバーへと、
興味が移行していくことになりました。
当時の私は、
手が小さいの、
ピアノをはじめたのが遅いの、
海外留学できないの、
耳が悪いの、と、
まぁ、考えつく限りの言い訳をしていましたが、
それでもあのまま、毎日何時間も、
ピアノだけを練習をすることを続けていれば、
きっと、今頃そこそこ弾けるようになっていただろうなと、
思うことがあります。
ギターもしかり。
いろんな人にダメ出しされて、
意見されて、
自分とまわりを引き比べて、
なんだかいやんなって、
結局手放してしまった想い。
高校1年の時にはじめたエレキを、
今も、あの時と同じくらいの情熱を持って弾いていたら、
ギタ女の走りとか、なれたのかも知れません。
でもね。
結局、「やめた」という事実がすべてです。
言い訳も理屈も、なんだっていい。
「できないから」でも、
「才能がないから」でも、
「未来が見えないから」でもない。
やめた理由はただひとつ、
「やりたくなくなったから」です。
これだけはどうにもなりません。
才能があろうが、
環境に恵まれていようが、
やりたくない人間を、
できるようにすることはできないんです。
だから、「できない」というくらいで、
「無理」と言われたくらいで、
やめられることは、さっさとやめた方がいい。
人生は短い。
だから「やめた」ことを後悔するのじゃなく、
今、何を「やりたい」のか、
そこだけにフォーカスして、
それを徹底的に追いかけるしかないのよね、と。
馬鹿でもダメでも失敗しても、
なんでもいい。
結局、やりたいことをやるだけです。
人間、それしか、正解はないんですよね。
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