アーティストたちの「本気度」
2015/07/13
プロのアーティストや、その卵たちにとって、
もっとも大切なことは「結果を出すこと」。
ときに無茶を承知で、たたみかけるように組まれるスケジュールや、
勝負を賭けるスタッフの高い要求に、
押しつぶされそうになりながら、とことん苦しみながら、
それでも、必死に食らいつく子たちは、
本番になれば、必ず、次に繋がる、
いいパフォーマンスをします。
特別、能力が高い子ばかりとは限りません。
がんばっても、がんばってもできなくて、
レッスン室で崩れ落ちるように泣き出す子もいます。
自信が持てない、期待に応えられない・・・
誰にも話せない苦しい胸の内を、
堰を切ったように打ち明ける子もいます。
彼らは、本気なのです。
覚悟があるのです。
その本気と覚悟が、たくさんの観客やスタッフを動かします。
そこが、アマチュアとくっきり線引きできるところかもしれません。
もちろん、
「こういう練習って、どんな意味があるんですか?」と、
生意気なことを言う子や、
「歌は、正直、あんまり練習する気持ちになれないんです」と、
正直に言ってしまう子もいて、
ときに、私もイラだったり、
キレそうになったり、(いや、キレたり・・・笑)することもありますが、
それは、いつも、お互いが真剣勝負だから。
毎日とんでもない勢いで曲を量産する、天才シンガーソングライター。
メディアに引っぱりだこで、寝る暇もない売れっ子タレント。
下克上や起死回生を目差して、
一分一秒、ぎりっぎりの崖っぷちで戦っている中堅アーティスト。
プロになるため、中学、高校時代から親元を離れ、
日々、修行に負わている子。
他の歌手たちがテレビであまりに細く見えるので、
悔しくて10キロ減量をしたという子や、
いきなりデビューが決まって、
2年間でやるべき歯列矯正を半分の期間でやるための大手術の末、
1年近く、流動食以外のどを通らないほどの激痛と戦い続けた子もいます。
17〜18才のデビュー当時には、すでに、
レコーディングに耐えうる楽曲を100曲以上も持っていた子もいれば、
デビュー前から、ギター1本、ピアノ1台で、
コンサートホールを、水を打ったように静まりかえらせたり、
拍手喝采で満たしたりするような、
素晴らしいパフォーマーたちもいます。
大学時代から、モデルをやりながら
作詞作曲アレンジまですべて1人で手がけ、
おまけにヒップホップを踊らせたら超カッコいい、
などと言う、化け物のような子もいました。
年齢なんか関係ない。
立場もキャリアも関係ない。
すごい子はすごい。
しかし、それは、生まれつきの能力ということだけではなく、
「本気度」なのではないか。
才能が足りなかったら、
努力とやる気で、差をつけていくしかない。
「本気」じゃなくちゃ、ダメなんです。
そんな彼らに、毎日、毎日、たくさんのものをもらっています。
私自身、持てるすべてを、捧げるべく、
全身全霊で、彼らと向き合っています。
エネルギーや感情はギブ&テイク。
自分が与えられる分しか、受け取れない。
夢だって、自分が捧げたエネルギー分しか、受け取れない。
「こんなもんでいいか」と思えるなら、
「こんなもんか」の未来しかやってきません。
それが私の信じることだから、
みんなとも、そうして向き合いたい。
自分自身の「本気度」を、私も、まだまだ、試し続けます。
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