大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「誉めて!かまって!」症候群

      2021/02/10

誰かにかまわれたい、
誉められたい、
認められたいという欲求は、
人間である以上、多かれ少なかれ誰にでもあります。

むしろ、無視されたいとか、
存在を全否定されたいとか思う人は、
よほど特殊なプレイを好む人以外、
まずいないと考えていいでしょう。

人間、かまわれてなんぼ。誉められてなんぼ。
認められてなんぼ。
なにひとつ恥ずかしいことはありません。

ティーンエイジャー、いや、20代、30代になっても、
そんな欲求を人に悟られることを恥ずかしいと感じる人は多いようで、
妙に自意識過剰になって、
コンプレックスをひた隠しにしたり、
人前で極端に緊張したり、
言動が不自然になったりしてしまうことが多々あります。

実際には、この不自然さ、ぎこちなさで、
評判を落としてしまう、
まわりを不快にしてしまうことさえあるのに、です。

ヴォーカリスト、プレイヤーに関わらず、
そんな「かまわれたい欲求」をエネルギーに、
パフォーマンスのパワーやクオリティを上げていくのがベストというもの。

エネルギーが強い人ほど、
ぐんぐん成長して、
自然に人にかまわれ、誉められ、
認められるようになる可能性があるはず。

ただし、欲求の高まりと成長スピード、
そして、人々に認められていくまでのタイミングには、
当然のことながら、時差があります。

この時差が、
「こんなはずじゃない」という焦燥感や、
コンプレックスを生んでしまう。

問題はここからです。

この時期を、なかなか、がまんできない。
乗り越えられない。

欲求はマックス、
努力もマックス、
誉められる気満満、
しかし、結果が全くともなわない。。。。

 

こんな時の人の反応は3つのうちのひとつです。

1.「もう、あかん」と、やめる。

2.「どう?あたしどう?」「俺ってダメなの?」と、
まわりの反応に執着する。

3.じっと堪えつつ、がんばり続ける。

いつも言うように、
うまくいかないでやめられるくらいなら、
さっさとやめる。
それは向いていないことだから、もっと向いていることを探す。

まわりの反応に執着すれば、
まわりはどんどん引いていく一方だし、
昨日のブログでも書いたように、
どんどん「他者基準」で自分を変えようとする。
そんな負のスパイラルに入ったら、人はさらに離れていきます。

どうしても、やり通したいなら、
ただ、じっとがんばる。
がまんする。前向きに「待つ」。
それしか、ないんですよね。

日々是修行です。

◆基礎力がないわけではないのに、歌の評価が上がらない。思うようにキャリアアップできない。ワンランク上の世界で認められない・・・。そんな悩みを抱えるシンガーたちのための中上級者向けワークショップ、MTLネクスト。2021年2月に第2期を開講!

 - B面Blog, Life, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, 夢を叶える

  関連記事

「自分のことば」になってない歌詞は歌えない!

役者さんがしばしばつかうことばに「セリフを入れる」というのがあります。 この「入 …

苦手な「リズム感」や「タイム感」を徹底的に磨く3つのポイント

「リズムが悪い」「タイム感が悪い」と自覚している人や、 「自覚はないけど、人にそ …

オトナとコドモの線引き

コドモの頃、オトナは特別な存在だと思っていました。   コドモとオトナ …

苦しさも音楽の一部だから。

歌がうまくなりたい!という強い衝動は、 一体どこから湧いてくるのか? 歌に、音楽 …

歌える歌ばっかり歌っていたら、いつまで経ってもうまくならない。

「今の自分の実力だったら、どんなの歌うべきですかね?」 これは、「自分に向いてい …

基礎の難しさに気付く~Singer’s Tips #4~

歌を上達したいという人に、 ウォーミングアップやストレッチ、 ヴォイトレなど、基 …

練習の結果が出ない3つの理由

「毎日練習してるんですけどね・・・」 結果の出ない人ほど、 自分がいかに練習に時 …

変化するチカラ

今日、しばらく近づけなかった眼科に、 検診に行ってきました。 質問表、検温、受付 …

精度の高い”フォルティッシモ”を持て!

ダイナミクス、すなわち音量の強弱のコントロールが 音楽表現の大切な要素であるとい …

ヴォーカリストこそ楽器を練習して「演奏の当たり前」を知る。

楽器をうまくプレイできるからといって、 歌もうまく歌えるかというと、もちろん、そ …