大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

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「出せない音」「イマイチ鳴らない音」を克服する方法

   

何度練習しても高いところが歌えない、
全体に低くて気持ちよく鳴らせない・・・

そんな苦手な曲を克服したいとき、
どんな練習をするでしょうか?

「とりあえず何度も歌う」という人が実に多いんですが、
それでは、なかなか結果が出せません。

オリジナルの音源を流しながら何回歌っても、
歌えないところはオリジナルのシンガーが、
補完してくれますし、
たいしていい声で歌えていなくても、
そこそこいい気分になれてしまう。

だから、いつまでたっても一本立ちできない。
自分の声がいい感じで鳴ったタイミングをとらえられないし、
筋感覚に落とし込めないんですね。

また、たとえカラオケをつかっても、
オリジナルテンポで練習するだけでは、
何回歌っても精度はあがりません。

バラードでもおなじです。
うまく鳴らせない、出せない音は、
1音1音レベルで、鳴らせるポイントを確認する必要がありますから、
状況が許すなら、楽器をつかって、
音と向き合うのが一番の早道だし、
確実に結果を出せる方法です。

さらには、
高くて出せない、どうも鳴らせない曲は、
自分が得意なところにキーをあわせて、
徹底的に鳴り方をカラダに入れることからはじめるのも手です。

高い声はコツです。
力を抜けばポンと出るのに、
「あ、高いとこ、来た」と身構えるから出ない。

こんな時、キーをどんと下げて,気持ちよく歌えるキーにして、
ちょっとずつキーを上げてみると、
びっくりするくらいあっけなく目的の音が出たりします。

私もレッスンで、
あたかもずっと低いキーで歌わせているように勘違いさせておいて、
目的のキーをポンと出させる、というドッキリレッスンをよくしますが、
みんな面白いように騙されて、見事にポンと高い声を出してくれます。

練習はくふう。
頭をつかうのも、練習のうちです。

真っ正面から突っ込んで行くばかりじゃなくて、
時に俯瞰して、時に裏側から、
時には真っ二つにぶった切って、
楽しく取り組んでいきましょう。

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 - B面Blog, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法, ある日のレッスンから

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