特別なことはなにも起きない
音楽業界でお仕事をするようになって、
少しずつキャリアを積み始めた頃、
街でばったり再会した学生時代のサークル仲間に、
こんなことを言われました。
「MISUMIちゃんってさぁ、
●●(音楽学校の名前)行ったんでしょ?
やっぱさぁ、●●とか行くと、お仕事もらえるわけ?」
そうか。。
私がプロに「なれた」ことは、
学生時代の仲間にとっては、納得できない、
なにか特別な理由が必要な、不思議なことなんだ。。。
しかし、
アマチュアからプロになるまでのプロセスで、
特別なことはなにひとつ起こりませんでした。
自分にとって当たり前のことを、
ただ、続けていただけ。
ひたすら練習する。
学校でぼろくそ言われて、うちひしがれる。
それでも、ひたすら練習する。
明けても暮れても、音楽のことばっかり考えている。
リズムがダメだと言われて、ジャズダンスを習う。
体力をつけようと、電車通勤をやめて、バイト先に自転車で通う。
ダイエットに励む。
人に会う。
会える人にはみんな会う。
名前を覚えてもらいたくて、ライブハウスに通い、
「歌ってみる?」と言って欲しくて、
いつでも歌える曲の歌詞カードをいつもバッグにしのばせ・・・
そんな、いやらしいこともいっぱいやった。
友だちに声をかけてバンドをはじめ、
ライブハウスのブッキングをし、
楽器屋で見かけたメンバー募集のフライヤーを見て、電話をかけた。
どんな小さなお話でも、
声がかかれば喜んで飛んで行ったし、
ギャラなんか1円ももらえなくても、
プロの人のお手伝いは、いつでも全力でやった。
MTRを勉強して、
デモテープをたくさんつくった。
曲も、たくさん書いた。
そんなことを、ただがむしゃらにやるうちに、
ぽろっとお仕事のお話をもらうようになったり、
意外な人に紹介してもらえるようになったり。
どんだけドロドロな日々だったか、
文章じゃ伝わらないなぁ・・・。
特別なことはなにも起きない。
特別な能力は自分にはなんにもない。
だから、と決めていました。
「できることはなんだってやってやる。
だって、あたしにできることはそれしかないんだから。」
とにかく、やれることをやらないで、
運命や才能に文句を言うことだけはやめよう。
このマインドは、今も変わりません。
特別なことはなにも起きない。
自分がやっていることに意味づけができるようになるのは、
何年も経ってからなんですよね。
◆“MTL ヴォイストレーナーズ・メソッド” 開講!
業界トップクラスのメソッドで、圧倒的な結果を出す。ヴォイストレーナーとして活躍されている方はもちろん、ヴォイストレーナーを目指す方、トレーナーという仕事に興味があるという方も。
関連記事
-
-
Now or never, my friend.(今を生きるのだ、友よ!)
大学生くらいの年頃の子たちと話していると、実によく、 「今しかできないんで」と言 …
-
-
人生の流れを変えるには、「人と出会う」
「ただ歩き回って歌っているだけじゃダメなのよ」 若き日のジャニス・ジョップリンの …
-
-
「プロになりたい」って一口に言ってもね・・・
少し前、若手売れっ子ドラマーがインタビューで、 「ドラムを始めたときから、歌バン …
-
-
「一部」は「全部」
足の薬指を骨折したことがあります。 発熱まではいきませんでしたが、 一日中、なん …
-
-
情熱に心捕まれて。
生まれて初めてバンドの「まねごと」をしたのは中学1年でした。 掃除用具入れから取 …
-
-
「声が低けりゃ威厳を感じるのか問題」を考える。
ヴォーカリストの悩みで一番多いのは、 「高い声が出ない」。 一方で、ビジネスパー …
-
-
逃した「チャンス」は本物の「チャンス」なんかじゃない。
「チャンスが来たのに、生かせなかった」と感じたことはありますか? …
-
-
逆境に感謝を。逆境に陥れようとする「そいつ」にはリベンジを。
「絶対に、あいつの方が、オレより可愛がられてる。」 「なんで、あの子ばっかりチヤ …
-
-
キーは、歌えりゃいいってもんじゃないんですよ。
カバー曲を歌うとき、 無条件にオリジナルのキーで歌っている人は多いはず。 私自身 …
-
-
ほんっとに「一期一会」
一期一会。 若かりし頃はあまりピンとこないことばでしたが、 年を重ね、世界を巡り …
- PREV
- 好きであることは自分への責任であり、義務である。
- NEXT
- 「一緒にバンドやってくれませんか?」