大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

けなし上手 vs. 誉め上手

   

「MISUMIは音痴だからさぁ。」
「ほら、あんたって、お勉強はできるけど人間的にはバカじゃない?」

アドバイスにかこつけて、
他人をけなすことにスリルを覚えるタイプの人がいます。

さんざん人のことをこき下ろしたあげくに、
「ごめんね。あたしって正直だからさ。
でもさ、やっぱり本当のこと、知っといた方がいいじゃない?」

こういうタイプが厄介なのは、
本人はいたって親切心で言っているつもりのところです。

 

 

もうおわかりと思いますが、
こうしたことばはある種のハラスメント以上のなにものでもない。

 

ときどき、自分のこどもにこの類のことばを言ってしまう親御さんもいるようです。

 

「こどもの頃、母に、
お前は人前で歌うと恥をかくから歌うなと言われました。」

「おまえは気量が悪いんだから、勉強くらいがんばれと言われて。。。」

 

親御さんとしてはこどもが将来困らないためのアドバイスのつもりかもしれませんが、こどもにとっては呪いのことばのようなものですね。

 

さて、一方で、なんでもかんでも誉める人もいます。

 

出来が悪いパフォーマンスをして落ち込んでいるときに、

「いやいや、いい声だよ〜。うらやましいねぇ〜。」

「えぇ〜。今の、なにが悪いの?完璧じゃな〜い!?」

と、やたらと明るく盛り上げてこられると、

もちろん、けなされるほど気分を害するわけではありませんが、
わかってないんだなぁとがっかりすることしばしば。

そういう人と一緒にいて、いい気になっていたのでは、
人は伸びません。

 

持つべきものは、けなし上手、誉め上手な友達。

 

「磨けばキレイなのに、なんでそんなにかまわないの?」

といわれるのと、

「君はブスだもんね。」といわれるのとでは、

同じ「イケてない」と言われるのでも雲泥の差です。

 

 

 

冒頭のことばにしても、
「MISUMIはピッチが悪いから、もっとがんばらなくちゃ」
だったり、
「頭はいいんだから、もっと世の中のこと勉強しなくちゃね。」

と言われれば、こちらのために言ってくれたと感謝できます。

 

 

 

「誉め」も同じです。

この人はちゃんと見てくれている。
悪いところも見た上で自分を評価してくれていると思える人に、
誉められたときは、本当に嬉しいものですし、
もちろん、伸びるきっかけになるでしょう。

 

けなし上手、誉め上手な友やメンターを持つこと。

自分自身がアドバイスするときも、心に刻んでおきたいことです。

12885052 - she is being asked to shut pu

 

 

 - Life

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  関連記事

「目立ってなんぼ」はさっさと卒業する

テレビは基本洋画一辺倒で、時折ニュースをつけるくらいです。 ワイドショーもドラマ …

We Gotta Get Out Of This Place!

夢中で毎日を過ごすうちに、気づけばずいぶんおとなになっていた。 あまりにもずっと …

ケツがむずむずするような曲、 書かなきゃ売れないよ。

PC内の断捨離&オーガナイズも佳境。 昨日、タイトルは見えるけど、 「デ …

「初めて」が「自分の基準」になる!

オーディションなどの審査をするとき、 最初に出てきたパフォーマーが、まずは採点の …

カセットテープ、どうしてます?

データ断捨離もほぼ終了したところで、 「眠っているデモ音源をライブラリーに登録し …

「準備OK」な自分を育てる

欲しいものがなんだかわからなければ、 どこに向かって手を伸ばせばいいのか、わかり …

「いつはじめるか」じゃない、 「いつまで続けるか」が重要なのだ。

「やっぱりピアノは幼稚園くらいからはじめないと、モノにならないわよ。」 &nbs …

生(リアル)な音、ください。

溝が浅くなるまで、繰り返し聞いたレコード。 ぼろっぼろになるまで、使い込んだ歌詞 …

コツコツ積み重ねる微差が、逆転勝ちを演出する

自分の生まれは選べません。 生まれたときから、才能やルックスや音楽環境に恵まれて …

「声」はエネルギー。

キャリアの節目を迎え、 「急に、自分の声が気になるようになって」と、 レッスンや …