「まったくおなじ音」は2度と出せない?~SInger’s Tips #19~
長年歌をやっていて、
もっとも難しいと感じることにひとつに、
「おなじ音をおなじ音量、おなじクオリティで繰り返し出す」があります。
例えば私、毎朝神棚に手を合わせているのですが、
目をつぶって、柏手をぽんぽんと2回叩いたとき、
2回のクラップ音は、
一度としてとして「まったくおなじ音」になりません。
一方が他方より、ちょっと大きい、ちょっと小さい、
ちょっと高い、または低い、
密度が低い、高い・・・etc.
手の平のような、比較的シンプルな構造のカラダの部分でさえ、
たった2回、まったくおなじ音を鳴らすのはことほどさように難しい。
ノドのような、複雑な組織はなおさらです。
人間のカラダの状態は刻一刻と変化しているもの。
そのカラダにさまざまな微調整を加えて、
まったくおなじ音、
いや、聴感上、まったくおなじと感じられる音を出せるようになることは、
一音の精度を上げることの次に、
非常に大切なテクニックとなります。
おなじ音を同じように弾いているのに、
音が揺れたり、大きくなったり、小さくなったり、
音色がコロコロ変わったりする楽器は信頼できません。
まずは、信頼できる楽器を手に入れる。
非常に難しいことであると同時に、
楽器としてのカラダの基本の「き」でもあるのです。
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