実力を磨く「三位一体」
2016/04/13
学生時代に一緒にバンドをやっていた仲間と、
3〜4年ぶりに同窓会的なライブをすることになったことがあります。
当時の私は、まだまだ駆け出し。
久々のバンドの音に、多少の違和感を感じたものの、
それでも楽しく演奏させてもらっていました。
しかし、その時、同じバンドでセッションしていた、
私よりも早くからプロの世界でキャリアを積んでいた女性が、私に耳打ちしたのです。
「まったく、なんでこんなにテンポ揺れるのかしらね〜??
チューニングも、なんだか気持ち悪いしね。」
テクニックと耳、そして音楽的センスは、ほぼ同時進行で磨かれてゆくと考えています。
音楽的センスが磨かれると、自分の出したい音のイメージが明確になります。
耳が磨かれると、イメージしている音と、
自分の出している音のギャップがきちんと判断できるようになる。
その差を埋めるべく、トレーニングに励むことで、
理想通りの音が出せるようになっていく。
そして、ひとつの「理想」を音にすると、さらなるイメージができ・・・
テクニックと耳と音楽的センスは三位一体です。
そもそもどんな音がいい音なのか、
どんな音を出したいのか、はっきりイメージできなければ、
テクニックの磨きようはありませんし、
イメージしている音と、出せてる音のギャップに気づかなければ、
とんだ勘違いになってしまいます。
センスも、耳もいいけど、テクニックが追いつかないという人は、
人前でプレイする勇気もなかなか出ないでしょう。
端的に言えば、
この、テクニックと耳、音楽的センスをバランスよく磨くことができた人こそが、
プロフェッショナルとなれる実力を身につけることができるということです。
そのとき、彼女が私に耳打ちしたのは、
私を「同じプロ」と認定していたからなのでしょうが、
残念ながら、まだまだ駆け出し時代の私には、そんなセンスも耳もありません。
多少の違和感は感じたものを、それを明確に定義づけることはできませんでした。
学生時代から、私よりも一歩も二歩も先にいっていた彼女は、
その後も順調にキャリアを積むことになります。
テクニックと耳と音楽センス。
その磨き方のポイントは・・・
1.カッコいいと思う音楽を、なぜカッコいいのか、細部まで検証する。
再現してみる。
再現できなかったら、その違いはなんなのか、なぜ再現できないのか、
徹底的に研究する。
2.イマイチと感じる音楽、違和感を感じる音楽を聴いたときに、
そのまま放置せず、「なぜなのだろう?」と考える。
それを改善するには、どうしたらいいだろうと、試行錯誤する。
3.優れたプレイヤーの演奏を可能な限り間近で見て、
その人たちの、呼吸、体幹の使い方、筋肉の動き、リズムの取り方などを盗む。
という感じでしょうか?
いずれにせよ、ふと浮かぶ疑問や違和感を放置しない習慣は、
進化していくために必要不可欠です。
今日、頭に浮かんだことで、放置していることはありませんか?
関連記事
-
-
条件が不利な人ほど、熱意がある
優秀なボイストレーナーのレッスンに通い、 思う存分自主練習を積み、めきめき上達す …
-
-
歌がうまくなる人は、やっぱ「どM」。
うまく歌えない時は、誰だって、自分の歌を録音して聞き返すのは苦痛です。 失敗した …
-
-
「一音」にこだわる
「とりあえず、ラララで歌って。」 歌の練習で、一番最初にするのは、 歌詞も曲想も …
-
-
間違えるなら大胆に間違える。
ここ数日、あまり慣れないことに取り組んでいます。 慣れないことに取り組んでいると …
-
-
批評家目線を捨てる
「Aさんって、うまいんですか?」 生徒の口からは、いわゆる本格派といわれる歌手で …
-
-
ゆっくりやってもできないことは、速くやったらなおさらできない。
「速くて難しい曲」、どうやって練習していますか? 学生などの練習で …
-
-
「できないことをできるように」から「できることをもっと素晴らしく」
先日、ディスカヴァーさんが、メルマガで拙著の紹介をしてくれていました。 「自分も …
-
-
意味もわからないまま歌わないっ!
歌詞の意味をわからずに歌うということは、 意味のわからないことばを声高に叫んでい …
-
-
「正しく気づけない」から上達しないのだ
「神は細部に宿る」と言われます。 細部の大切さは誰もがわかっているはずなのに、 …
-
-
毎日プレイしているだけじゃ「上達」はしない
「人生で一番練習した」と言い切れる時期はありますか? おそらく、ほとんどの人は、 …
- PREV
- バブル期のカラオケ制作現場は、めっちゃすごかった!
- NEXT
- 「自分」というジャンルを極める

