大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「本を読もう!」

      2017/10/10

「本読んでる?」

なんだか国語が通じないなぁ、と感じる生徒に出会うと、
思わず言ってしまうことばです。

「音楽やるのにことばは必要ない」とか、
「そもそも勉強が苦手だから音楽やってるの」、
なんて声が聞こえて来そうですが、

残念ながら、どんな道にいても、
本当に優秀な人に言語力の低い人は非常に希。(一部、天才をのぞく)

漢字をよく知っているとか、
古文や漢文がわかるとか、
そんなレベルの話をしているのではありません。

相手の言っていることをきちんと理解できる。
その上で、自分の考えをきちんと相手に伝えられる。

つまり、コミュニケーションの基礎のことです。

簡単なことのようですが、これが意外にむつかしい。
できない。

こちらが期待している答えがなかなか返ってこないわけです。

足りないのはボキャブラリーなのか、
想像力なのか、
瞬発力なのかはわかりませんが、

本を読んでいる子と、そうでない子は、
あきらかに反応の速度や精度に差があります。

「言語の力は思考の力だ。」

こどもの頃、本が嫌いだった私に父が言ったことばです。

「お前はものを考えるとき、どうやって考える?
ことばで考えているだろう?
なんとなく、嬉しかったり、むしゃくしゃしたり、っていうのは感情だ。
思考じゃないよな?
感じていることをことばにする。
そこからはじめて思考が生まれていくんだ。」

怒れるこどもだった私は、なんだかいつもむしゃくしゃしていました。
それを表現するすべがなかったからです。

やがて本と出会い、音楽と出会い、
自分の思いを音やことばで表現することにのめり込んで、
どんどん世界が開けていきました。

10年ほど前に教えていた生徒に、この話をしたことがあります。

数年前、彼と再会したときに、突然、
「あの日、MISUMIさんに言われてから、
オレ、ず〜っと本読んでるんです。すっごい世界観が変わりました。」
と言ってくれました。

「本は著者が何十年もかけて手に入れた英知の集大成だ。
それをたった1000円で手に入れられる。
素晴らしい投資だ。」

これは私の出版の師のことばです。

今の自分の想いを、人に聞かれたとき、
即座にことばにできますか?

現在の状況や、将来への希望を
相手にわかるように、簡潔に説明できますか?

わからないこと、知りたいこと、発見したこと、人に伝えたいことを、
過不足なく、言語化できますか?

少しだけ時間を作って、本を読む。日記を書く。(できれば手書きで)

人生がふわっと開ける
そんな習慣を作ってみて欲しいなぁと思うのです。

 

ちなみに、マンガは、「絵」という情報があることが前提ですし、
雑誌は、あくまでも断片的な情報でしかありません。
やっぱり本です。ちゃんと本。できれば、紙の本がオススメです。

30325711_s

 

 

 - Life, 「イマイチ」脱却!練習法&学習法

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


  関連記事

行動のパターンを変えると思考が変わる

6日ぶりの更新です。 丸2年前、思いを新たにブログに取り組もうと決心して以来、 …

「誰に学ぶか?」vs.「誰が学ぶか?」

中学1年でやっとの思いでピアノを買ってもらって、通い始めた近所のピアノ教室。 2 …

想像力は人の痛みを知るためにある。

2002年、 ふらっと訪れた旧友たちの住むニューヨーク。 以前住んでいたアパート …

英語の歌詞を完璧に覚えるオタッキーな方法

歌詞を覚えることの大切さについては、 もう、口が酸っぱくなるほど言い続けているの …

大きな声を出せないときに、やるべきこと。

各地で次々と緊急事態宣言が解除され、 コロナ自粛も出口が見えてきました。 とはい …

「迷い」に耳を貸さない覚悟

「これだ!」と閃いて、 ワクワクはじめたはずなのに、 なぜかうまくいかない、 こ …

表現しろ。抑圧するな。(Express yourself, Don’t Repress yourself!)

Express yourself, Don’t Repress yo …

目一杯のインプット&勝負をかけてのアウトプット

どんな人にも、 スキルを上げるべく、目一杯インプットしたり、 勝負をかけて、アウ …

ボーカリストが20代のうちにやっておきたい10のこと

10代、20代のアーティストたち、学生たちを見ていると、 彼らの脳や肉体の柔軟性 …

テンポが速い曲の練習方法~Singer’s Tips #26~

「ゆっくり目の曲はうまく歌えないんです。 テンポの速い曲の方が得意です。」 時々 …