大きな声を出せないときに、やるべきこと。
各地で次々と緊急事態宣言が解除され、
コロナ自粛も出口が見えてきました。
とはいえ、東京では今しばらく、引き籠もり推奨期間。
ZOOMでレッスン生たちと話していると、
なにが悩みって、練習する場所に困っている、
と言います。
事務所のスタジオにも行けない、
営業スタジオには行きたくない、
近所のカラオケもお休み・・・
となると当然、
練習はもっぱら家で、
ということになります。
みな練習熱心な人ばかりですから、
これまでも自宅で練習したり、
ちょっとしたデモを録音したりと、
がんばっていたわけですが、
コロナ自粛になってから、
そんな自宅での練習環境にも変化が出てきたと言うのです。
たとえば、
家族がみんな、ずーっと家にいて、
声を出したり、歌ったりしづらい。
それでも勇気を出して歌っていると、
兄弟姉妹や親、時にはこどもに、
「うるさい」と言われる。
たとえば、
いつもは朝から晩までいない近隣の人がみんな家にいて、
そこかしこから生活音が聞こえて落ち着かない。
たとえば、
みんなが家にいるせいか、
はたまた、窓を開けているせいか、
何年も普通に練習してきたのに、
急に、隣人から苦情が来た。
または、エレベーターにいきなり
「騒音禁止」と張り紙が出た・・・などなど。
苦情って、はじめて言うまでは、
誰でもある程度がまんするものですが、
1回思い切って言っちゃうと、
もう後は、ちょっとしたことでも言いやすくなるもの。
生楽器の人間にとって、
練習場所の確保は、いつも大きな問題です。
しかし、ここは発想の転換。
大きな音が出せないからこそ、
気づけること、
鍛えられることも、たくさんあります。
高い声を出すときに、音量が上がるのはNG。
下の音域から上の音域までピアニッシモで、
なめらかに歌えるように練習したい。
その際につかうのは、ファルセットではなく、
あくまでも「小さな地声」。
地声でピアニッシモが出せないのもNG。
実は、ジャニスやエアロのようなシャウト声も、
小さな声で出せるるのが理想です。
いつもオケを大きくして、
大きな声でばかり歌っていると
ついつい雑になるピッチやリズムにも気づけます。
あくまでも、
内緒話のようなささやき声ではなく、
「ちゃんと声を出すこと」が大事。
またピアニッシモのファルセットで
全音域を歌う練習も、
声帯様とのコネクションを深めてくれます。
そうそう、ささやき声、
すなわち、すべて無声音の状態で、
英語の歌詞を読む練習をすると、
苦手な子音に気づくことができます。
無声音でも、”t””p””k””s””th””h”などを、
くっきり立てて、
ビートを刻めるようになると
リズムが劇的によく聞こえるようになります。
そして、もちろん、「聴く」練習。
なにより、みんな、すぐ歌いたがる。
ちょっと覚えた気になると、もう、いきなり歌う。
じーっと、もう徹底的に、ひたすら聴く練習。
楽器のひとつひとつを
口でコピーするくらいの気持ちで取り組んでください。
実際に声を鳴らさないとできないのは、
声量をアップする練習。
ダイナミクスの練習。
カラダを鳴らす練習。
音色をコントロールする練習。
という感じでしょうか。
まずは小さい声でも、
的確に歌えるよう練習をしておいて、
周囲の様子を見ながら、
少しずつその音量上げていく。
声が出せる環境に戻ったら、
反対に、思いきり鳴らして、
小さい声で自由にできたことをやってみる。
最終的にはその2つのバランスが取れるポイントが正解です。
なにしろ、声帯様から息をもらして、
こそこそ、ふわふわ歌う癖だけは、
つけないように気をつけてくださいね!
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