大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「真面目がダメならどうすればいいの?」

   

真面目にやれ。
一所懸命にやれ。
丁寧にやれ。

こどもの頃から、
よく言えば、閃きでドドドと突き進んでしまう、
平たく言うと、がさつな私が、
ことあるごとに言われたことばです。

正直、
興味のないこと、
やりたくもないことを強制されるのは、
今も昔も大嫌いで、

「やろう」と思うだけでも、
そうとう一所懸命にならないとダメだったし、

やりたくもないのに「やる」自分が
弱いと感じてイヤになったし、

それでも「やったこと」を評価して欲しいのに、
丁寧じゃないとか、やる気が感じられないとか、
ほんっとに意味わかんない、と、
やさぐれたものです。

時は流れ、

フリーター時代、
シンガーのタマゴ時代、
そして、駆け出し時代、

一貫して言われ続けたのは、

「MISUMIは、真面目だから」でした。

そして、この場合の「真面目」は、
ネガティブに使われました。

頭がカタい、
融通や応用が利かない、
遊び心がなくて面白味がない・・・。

今にして思えば、
私の思い込みの強さや、
自分で決めたことは曲げられないようなところ、
そして、たいがいの子が興味を持つ、
「遊び」や「趣味」に全然ノッて行かないようすが、
まわりを居心地悪くさせたのかもしれません。

「真面目がダメならどうすればいいの?」

そんな風に聞くと、
今度は、決まって、
「もうちょっと力を抜いてやったらいいんじゃない」
「もっと遊ばなくっちゃ」
などという言葉が返ってきます。

うーん。

不真面目にやって結果が出せるほど、
実力もセンスもあるわけではありません。
歯を食いしばって、必死に食らいついて、
やっと業界の末席にいたような私です。

「遊ばなくっちゃ」は、もっと困りました。
「遊ぶって何するの?」と真剣に友だちに聞いたこともあります。
そうしたら、
「だから、お前は真面目だって言うんだ」と、
鼻で笑われました。
くっそーー。

さて。

私的な結論です。

「真面目だ」と言われるなら、
もう、まわりにどん引きされるくらい、
くそ真面目に、自分の筋を通せばいい。

結局、最後は自分自身に
どこまで、真摯に、真面目に、真剣に向きあえるかです。

面白くないヤツとか、
遊び心がないヤツなどという、
世俗的なレッテルに悩むことには意味がない。

みんなが「楽しい」って思うツボがわからないのに、
みんなのマネをして、楽しいふりをするのは、
単なる時間の無駄。
もうイヤと言うほど経験しました。

「お前は真面目だから」と言われたら、
「そうなんですよ」と流して、
心の中で「わかってねーな」とほくそ笑めばよろしい。

研究したり、勉強したり、
練習したり、クリエイトしたり、
表現したり、悩んだり・・・

そんな、人から見たら、
「くそ真面目で面白くない」というようなことが、
寝ても覚めても頭から離れないくらい、
楽しくて仕方がないなら、
それこそが、自分の「学び」であると同時に「遊び」でもあるわけで。

馬鹿みたいに真面目に、
夢中になってがんばっているうちに、
そのうち、世界がバーッと開けるような瞬間が、
必ず訪れる。

ふと「遊び心ってこういうこと?」
「力を抜いてやるって、こんな感じ?」
なんてことが腑に落ちたりする。

それこそが本当の自分にとっての「自由」で、
そこから先が本当の「遊び心」になるんじゃないか。

とにもかくにも、
やると心に決めたことは、
どんなに小さなことでも、
ひとつひとつ、
真面目に、一所懸命に、丁寧にやる。

だって、それが、自分なんだからしょうがない。

そして、そのうちにね、
くそ真面目に、オタッキーに何かを追求していた人は、
力を抜いて、楽しく遊んでいた人たちに、
「お前って面白いなー」
なーんて、言われるようになったりするものなんですよ。

人生ってほんっとに面白い。

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