大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

は?この手がなにか?

   

昔からよく、「手」のことをいじられます。

フリーター時代、バイト先の店長に、「歯並びを直そうと思っているんです」と話したら、「お前、歯より、手の整形のが先だろう」と冗談交じりに言われて、びっくりしたことがあります。

ピアノがうまくなりたくて、毎日のように手の平をストレッチしたり、指を鍛えるエクササイズをしていた中学時代。
ジミーペイジに憧れて憧れて、手が小さいことがほんとにコンプレックスで、手の平を見てはため息をついていた高校時代。

毎日ハノンを何時間も弾いていたこともあれば、ハンドグップ片手に通学したこともある。
手の平で机の端を叩いてはリズムトレーニングしていたこともある。

その存在を片時も忘れたことがないくらい、ず〜っと自分の手と向き合ってきたのに、まさか、手の「形」が人と違っているなんて、しかも、どうやら、見てくれが悪いなんて。
夢にも思ったことがなかった新事実に、思わず笑ってしまったものです。

その少し後のこと、何かの折に私の手の平を触った母が、いきなり、
「あんたの手!」とびっくりしたような顔になりました。
「ごつごつしてて、工事現場で働いてる人みたい!」

母としては「こんなの女の手じゃない」と、言いたいわけですが、
言われたこちらは、へのかっぱです。
どんだけ鍛えて来てると思ってるの。あたりまえじゃん。
と、またしても鼻で笑ったものです。

結婚してしばらくして、今度はジェフ夫さんがいきなり、「君はいいなぁ」と言い出します。
「手の皮が厚くって、羨ましいよ。ギター弾いてて、よく指、痛くならないね」

驚愕しました。
は?ギターリストのくせに何言ってんの?

触ってみれば、毎日のようにギターを弾いているはずのジェフ夫さんの指のあまりの柔らかさに二度びっくり。
「鍛え方がたんないんじゃない?」と笑ったものの、
そういえば子供の頃から、指にマメってものができたことがほとんどない。
練習し出した時は、ちょっとは痛くなるけど、毎日弾いていると、やがてプラスチックのように硬くなって、机を叩くとカチカチと爪で叩くような音さえします。

なんだ。あたしの手、すごいじゃん。

この手の形、実は亡き父の手の相似形です。
ある日父と私の手を見比べて、あまりのそっくりさにこれまた笑ってしまったものです。

少々小さいこと以外は、機能面でも申し分のないこの手は、父の忘れ形見でもあるわけです。

今でも毎日、何千字という文字を一緒に紡いでくれてる、この手。
見てくれが悪かろうが、女らしくなかろうが、一生大事にしたい、自慢の逸品です。

■一流のトレーニングノウハウを、あなたも。第2期MTLトレーナーズメソッド、7月開講です。
■パワーアップしたメルマガ『声出していこうっ!』。ブログから、さらに1歩進んだお話をしています。ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。ご購読はこちらから。

 - Life, My History

  関連記事

人生のベストタイミングは「やりたい」「やらなくちゃ」と、ひらめいた時

“Never too late”は私の信条のひとつでもあ …

自分の名前をGoogleで検索する?

今日は著者なかま&朋友、デザイナーのウジトモコさんの新刊『SNS xDESIGN …

人間関係は「見極め」と「覚悟」なのだ。

最近、「あぁ、なんでこの人は、わかんないんだろう。」と、 苛立つことが立て続けに …

「お前は一体、どんな行動をして、今の状況を気に入らないと言っているんだ?」

週末なので、インサイドストーリー的お話を。 生まれて初めての音楽の仕事は、音楽学 …

この歌、どうして知らないの?

MTL定番の、 (そして、私自身が「ドS」と認定されるきっかけのひとつとなった) …

人は、他人のにおいに「敏感」かつ「不寛容」なもの。

「角の○○さんのご主人、若い頃はカッコよかったのよ。 ハワイアンバンドにいたらし …

「 自己評価 x 体感努力量 」vs.「他人の評価 x 仕事の成果」

学生時代、こんな人は回りにいませんでしたか?   試験の朝、 「俺、め …

コツコツ積み重ねる微差が、逆転勝ちを演出する

自分の生まれは選べません。 生まれたときから、才能やルックスや音楽環境に恵まれて …

大きな波を引き寄せる

音楽の仕事には、大きな波のようなものがあって、 来るときには、ど〜〜っと来て、 …

「奥さんのとこ、まだテレビ、白黒なんですか?」

先日、生徒さんと話していたら、 「え?先生、Youtube、まだパソコンで見てる …