は?この手がなにか?
昔からよく、「手」のことをいじられます。
フリーター時代、バイト先の店長に、「歯並びを直そうと思っているんです」と話したら、「お前、歯より、手の整形のが先だろう」と冗談交じりに言われて、びっくりしたことがあります。
ピアノがうまくなりたくて、毎日のように手の平をストレッチしたり、指を鍛えるエクササイズをしていた中学時代。
ジミーペイジに憧れて憧れて、手が小さいことがほんとにコンプレックスで、手の平を見てはため息をついていた高校時代。
毎日ハノンを何時間も弾いていたこともあれば、ハンドグップ片手に通学したこともある。
手の平で机の端を叩いてはリズムトレーニングしていたこともある。
その存在を片時も忘れたことがないくらい、ず〜っと自分の手と向き合ってきたのに、まさか、手の「形」が人と違っているなんて、しかも、どうやら、見てくれが悪いなんて。
夢にも思ったことがなかった新事実に、思わず笑ってしまったものです。
その少し後のこと、何かの折に私の手の平を触った母が、いきなり、
「あんたの手!」とびっくりしたような顔になりました。
「ごつごつしてて、工事現場で働いてる人みたい!」
母としては「こんなの女の手じゃない」と、言いたいわけですが、
言われたこちらは、へのかっぱです。
どんだけ鍛えて来てると思ってるの。あたりまえじゃん。
と、またしても鼻で笑ったものです。
結婚してしばらくして、今度はジェフ夫さんがいきなり、「君はいいなぁ」と言い出します。
「手の皮が厚くって、羨ましいよ。ギター弾いてて、よく指、痛くならないね」
驚愕しました。
は?ギターリストのくせに何言ってんの?
触ってみれば、毎日のようにギターを弾いているはずのジェフ夫さんの指のあまりの柔らかさに二度びっくり。
「鍛え方がたんないんじゃない?」と笑ったものの、
そういえば子供の頃から、指にマメってものができたことがほとんどない。
練習し出した時は、ちょっとは痛くなるけど、毎日弾いていると、やがてプラスチックのように硬くなって、机を叩くとカチカチと爪で叩くような音さえします。
なんだ。あたしの手、すごいじゃん。
この手の形、実は亡き父の手の相似形です。
ある日父と私の手を見比べて、あまりのそっくりさにこれまた笑ってしまったものです。
少々小さいこと以外は、機能面でも申し分のないこの手は、父の忘れ形見でもあるわけです。
今でも毎日、何千字という文字を一緒に紡いでくれてる、この手。
見てくれが悪かろうが、女らしくなかろうが、一生大事にしたい、自慢の逸品です。

■一流のトレーニングノウハウを、あなたも。第2期MTLトレーナーズメソッド、7月開講です。
■パワーアップしたメルマガ『声出していこうっ!』。ブログから、さらに1歩進んだお話をしています。ご登録いただいた方全員に、『朝から気持ちい声を出すためのモーニングルーティン10』をプレゼント。ご購読はこちらから。
関連記事
-
-
まず、やってみる。
何もかもがものすごくうまく行っているように見える人って、 うまく行っていることの …
-
-
「声」はエネルギー。
キャリアの節目を迎え、 「急に、自分の声が気になるようになって」と、 レッスンや …
-
-
「がんばるのが好き」なんてヤツが世の中にいるのか?
私に関するひどい誤解のひとつに、 「MISUMIはがんばるのが好きだから」という …
-
-
あたりまえ過ぎて、今さら言えない10のこと
あまりにも、あたりまえのことすぎて、 最早、口にすることさえはばかられるようなこ …
-
-
「なんでも歌える」と言わない勇気
「どんなの歌ってるんですか?」 どんなちっちゃなご縁も仕事に繋げようと躍起になっ …
-
-
ことばの解釈に「正解はない」
高校時代の大半は、ロックとバンドとギター(そして男の子)に夢中で、 「学校の勉強 …
-
-
眠れない体質をなんとかしたい。
「明日起きられなかったらどうしよう」とぼやく人に出会うと、 あぁ、「なんて羨まし …
-
-
「完コピって、どんな曲したんすか?」
先日、語りはじめたら止まらなくなった、完コピのお話の2回目。 最近、昔、完コピし …
-
-
憧れを現実に変える力
中学に入学して、 生まれて初めて部活動というものをはじめた時、 同じ部活の高校生 …
-
-
「華がない」ってなんだよ?
あれは確か大学卒業目前の冬休みのこと。 大学生2年生くらいから、夏休み、冬休み、 …
- PREV
- バンドマンって、大変なんだ。
- NEXT
- だから、「でかい声」を出したいわけじゃないのよ。
