バンドマンって、大変なんだ。
はじめて「フライヤー」ということばを聞いたのは、ニューヨークで初ライブをやったときのこと。
「オーディション行ったらいきなり、来週ライブやれって言われちゃった。」と、同じ寮に住んでいたデザイナーの友だちに話したら、「じゃ、フライヤーいるね!」と、ささっとつくってくれたものが、私の人生初フライヤーになりました。
高校時代からライブをやっていたものの、それ以前は、チケットを持って売り歩いたり(時代やねぇ)、知り合いに電話で声をかけたことがあるくらい。
色のついた紙にコピーをしただけの簡易フライヤーだったけど、プロモーションって、こうやってやるんだと、なんだかびっくりしたものです。
帰国後しばらくして、バンドをはじめて、本気のライブをやろうとなって、今度は自分でミニポスターをつくりました。
“サージェントペッパー”のジャケットみたいなやつをつくりたくて、めちゃくちゃ時間をかけて雑誌をあれこれ切り抜いて貼り付けたけど、結局、垢抜けない工作レベルのものしかできなくて。
それをまだ目新しかった(そしてめちゃくちゃ高かった)カラーコピー機でコピーして、スタジオや、ライブハウスに、貼ってくださいって、持っていったものです。
BEPPをやり出した当初は、まだプリントゴッコでハガキをつくってたし、
ネットの時代が始まったばかりの頃は、インターネットのルールもなんにも知らないまま、人様のバンドのファンページに乗り込んで、ファンのふりして、自分のバンドの宣伝を書き込んじゃったこともあります。(ごめんなさい)
テクノロジーの進歩は、そんなすべてを完全に変えました。
PCで素材データを拾い集めたり、写真を加工したり、スキャナーで画像を取り込んだり。
大きさも色も自由自在に調節できるし、文字だって選び放題。
ネット経由でデザイナーさんに依頼することだって可能です。
カラープリンターは常識だし、業者にネット経由で頼んだら、2〜3日で立派に印刷されたものが届く。
なんなら、いちいちプリントしなくても、必要な人には、データで一瞬にして届けることだってできる。
楽器店だのスタジオだのを回って、「ポスター貼らせてください」なんて、泥臭〜いことやらなくても、SNSでバババと拡散することだってできる。
ど素人でも、それなりにカッコいいフライヤーをつくって、全世界に向けて一瞬で発信できる時代。
プリントゴッコで電球パチンとさせてた自分にとって、もう完全に近未来の風景です。
しかしね。
肝心の人間の中身は、プロントごっこの時代と何が違うんだろう…。
音楽も、バンドメンバーも、ひとりひとりのお客さんに情報を届けなくちゃいけないってことも、情報を届けるだけじゃお客さんは来てくれないってことも、結局なーんにも変わってない。
カッコいいフライヤーにつられてライブを見に行ったって、音を聞いた瞬間にげんなりしたら、それでおしまい。
本質の大切さは、どんなに時代が移り変わっても、きっと1ミリも変わらないんだよな。
「本質論」に甘んじて、時代に背を向けるつもりはないけれど、技術に振り回されてエネルギーを浪費して、本質を置いてきぼりにしないように。
やるべきことは、まだまだ、たくさんあります。
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