大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

極度の緊張に負けない自分になる|本番で力を発揮するコツ

   

「極度の緊張」のため、肝心な舞台でしくじる。

舞台度胸がないとか、練習が足りないとか、ひどくしくじって落ち込んでいる若者に、がみがみと説教をする人を目撃することも、これまで幾度となくありました。

ステージのたびに、舞台袖や真正面でパフォーマンスをチェックしていて、毎回厳しく駄目出しをするというディレクター、プロデューサーもいました。

「まだまだ甘い」「もっとがんばれる」と気づかせたいという熱い想いからか。
たくさんの資本をかけているのに、という苛立ちか。
はたまた、まわりのスタッフの手前、自分はやるだけのことをやっているというパフォーマンスなのか。
そんなこと言えば言うほど逆効果なのにと、傍で聞いていて、がっかりしたことも何度かあります。

緊張は、「失敗したらどうしよう」「どう思われるだろう」という不安が引き金で起こります。
どんなに緊張しやすい人でも、家族や友だちとカジュアルに話す時に緊張することはありません。

「自分は大丈夫」という自己暗示をかけることに成功すれば、緊張は収まるのです。

さて、では具体的にどうするか。

1.リラックスしている時の身体の状態に近づけて、脳を騙す。

・膝をリラックスさせて、身体を上下に軽くシェイク。
・重心を下に落として、血液を下半身に戻します。
・丹田に力を感じながら、呼吸をゆっくりと、ぜんぶ吐いてから、ゆっくり身体を膨らませるように、息を身体に入れていきます。

身体がリラックスした状態になると、脳は騙されるらしい。
すると、どんどん気持ちが落ち着いてくるはずです。

2. 「大丈夫!」と確信できるまで準備したら、最後は、「自分は失敗しない」と決める。

心の中の「?」をぜんぶ消す努力は、マストですが、とにかく、やれることをぜんぶやりきったら、最後は、「自分は失敗しない」と決めることです。

本番がうまく行くか否かは、自分でコントロールできることではないと考えています。
最後に決めるのは「本番の神様」です。
自分自身は「本番の神様」に愛されている。
だから絶対に失敗しないんだと心に決め、それを誰に対してもハッキリと口に出すことです。

3. 緊張を感じたら、「よっしゃ、興奮してきた!」と自分に気合いを入れる。

緊張と興奮は同じ種類のエネルギー。
リラックスし過ぎては、うまく集中力を発揮できません。

よき緊張感は大切な友だちです。
だから、緊張を感じ始めたら、「よっしゃ!いい感じ!」と自分に言いきかせること。
そんな空元気な自分がおかしくて、笑っちゃうくらいでちょうどよいわけです。

 

この他にも、なにかお守りを決めて触る、大切な人の写真を見て笑いかける、誰かに背中を優しく叩いてもらう、などなど、自分なりの方法を見つけることも肝心です。

 

最悪なのは、しかり飛ばしたり、脅しをかけたりすること。
「失敗したらどうしよう」という想いが強くなればなるほど、緊張はますます強まります。
指導する立場にある人間こそ、もっともっと勉強や研究をすべきなんです。

緊張は、場数を踏めば、必ず軽減されます。
上手に付き合っていきましょう。

 


■声のエネルギーで聴く人をあなたのファンにする。
ビジネスパーソン向けプライベートレッスンはこちら>>

■思い通りに歌い、聴く人の心を震わせる。MTLのボーカルプログラムは、発声の基礎から表現力の強化まで、ヴォーカリスト向けプログラムはこちら>>

 - Life, The プロフェッショナル, ビジネスヴォイス

  関連記事

「落としどころ」か?「限界突破」か?

完璧主義というほどではないですが、私はなにかと採点が辛いようで、 生徒やクライア …

「モノマネ」で終わっちゃうからいかんのだ。

昨年から、今日に至るまで、 これまで聞いたこともなかった、 いや、むしろ逃げ回っ …

no image
「情報」は量より質!

私はボイトレや声、カラダに関する本など、 気になるものを定期的にどかっと大人買い …

「上手そうに歌うな」

シンガーの卵たちに必ず言うことばのひとつに、 「上手そうに歌うな」があります。 …

「やりたい」と「できる」と「やる」

「音大目指すなんて、今からじゃ無理よ」 中学2年の時に、 とある音楽教室の先生に …

「適性がない」とか言うな!

運転免許を取るときに、 適性検査というのを受けました。 言いたかないけど、ずいぶ …

歌の魅力。〜SInger’s Tips#7〜

「今の声の初々しい魅力はそのままに、 もっと声が抜けるように、パワーをつけてくだ …

人生のベストタイミングは「やりたい」「やらなくちゃ」と、ひらめいた時

“Never too late”は私の信条のひとつでもあ …

年齢の制限なんか、単なる幻だ。

中学のときのこと。 当時、クラスで常に成績の1〜3位の上位を争っていた、仲のよい …

「お客さんに甘やかされたらあかんよ」

「MISUMIちゃん、 こういうお客さんに甘やかされたらあかんよ」 京都でバンド …