メイクに目覚める年齢 vs. あきらめる年齢
大学4年の頃、よく遊んでいた同級生の男子に、いきなり、
「っていうかさぁ、コサカさんは、なんでお化粧しないわけ?
A子ちゃんだって、B美ちゃんだって、仕上がりは残念だけど、それなりにがんばってるじゃない?少しは女らしくしなさいよ。」と言われ、衝撃を受けました。
その瞬間まで、自分がお化粧してないなんてことを、ただの一度も意識したことがなかったし、他人がお化粧をしているか、否かなんてことが気になる人がいるなんて、想像もしていなかったし、ましてや、同級生の男子に、そんなことでとがめられるなんて、まったくの心外だったのでした。
メイクに目覚める適正年齢って、いったいいくつなんだろう?
そういえば、『小さな恋のメロディ』では、まだ小学生だったメロディがお母さんのメイク道具をこっそり使って、お化粧をするシーンがあったっけ。
社会人になれば、お化粧は身だしなみとされる風潮さえあるのだから、高校の授業でメイクを教えたってよさそうなもの。
先輩や同級生に素敵なおしゃれをしている人がいれば、自分だって影響を受けて、少なくとも興味は沸いたかもしれない。
メイクや髪染めどころか、ちょっと眉毛を細くしているとか、髪にレイヤーが入っているとかいうくらいで、呼び出されたり、生徒証を取られたりするような、とんでもない中高一貫の女子校に通っていたせいで、お化粧している同級生を見たことがなかった私。
音楽に夢中だったのに、ビジュアル面には全く意識がいかなかったこともあいまって、大学卒業を前に、山出しのジャガイモのような状態だった私を、彼は見るに見かねたのかも知れません。
そんなんでね。苦労しましたよ。
完全に出遅れた形でメイクをはじめて、ルッキズム全盛、セクハラモラハラパワハラのデパートといえる音楽業界に飛び込んで。
あれからむにゃ十年。
何年か前に母に聞きました。
「もうさー、美容院も化粧品もドンドンお金かかるのよね〜。
一体いくつになったら、もういいかなって、お金かからなくなるんだろう。」
「お金かからなくなるときは、死ぬときだね。
おばあちゃんは、80になっても化粧品は上等なの使ってたわよ。」
そう言っていた母も間もなく90才。
先日の引っ越しで、小洒落たドレッサーを買いました。
多少スタートの遅くたって、ちゃんと帳尻はあうのが人生。
まだまだ当分がんばります。
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