コミュニケーションは、あきらめたら負け。
日々、ティーンエイジャーから還暦越えまで、さまざまな世代の、さまざまな境遇の人たちのレッスンをしている中で、常に最優先に取り組む、最重要課題は、それぞれとの共通言語を見つけることです。
同世代でも、音楽的バックボーンや育ってきた環境が違えば、意志の疎通は難しいものですし、30代40代でも、幅広い音楽経験がある人やコミュ力の高い人なら、注釈無用でスムースにレッスンが進行したりします。
難しいのは10代〜20代の、いわゆるデジタルネイティブ世代。
特にボカロやゲーム、アニソン系の音楽に傾倒していて、バンドやパフォーマンス経験も一切ない、というような若者たちのレッスンでは、「共通の理解」という落としどころを見つけるのに苦労することしばしばです。
「たとえば●●みたいな」とこっちとしては思いっきり若者に寄せたつもりのアーティストの名前を出しても、「あ、お名前しか知りません」となる。
彼らの口から出てくるアーティストの名前は、よほど王道の人でない限り、聞いたこともない不思議な名前のオンパレード。
楽器をいじったこともなければ、誰かが目の前で演奏しているのを見たこともない人がほとんどだから、「ほら、ドラムってさぁ…」とか「ベースの音はさぁ」っていう説明も通じない。
それでも、自分で打ち込みをやっているとか、誰かとコラボで音源をつくっているような人は、「リズムの縦が」とか、「メロディの流れが」という話が通じるのだけど、YouTubeで音源を聞き、カラオケで歌い、スマホで配信..と、デジタルの世界だけで完結している人とのコミュニケーションは困難を極め、いつも頭を抱えます。
だからといって、音楽をいい加減にやっている気持ちは彼らにはありません。
顔を出さずに活動しているVチューバーだって、「歌ってみた」でフォロワーをどんどん増やしている人だって、めちゃくちゃ努力してがんばってる。
単に表現するツールが違うだけ。
こんな時に、すべきことは、もう徹底的なヒアリングです。
レッスン中でも、わからないことはどんどん聞きます。
こちらの言うことばが通じてないと感じるときは、どこがわかりにくいのか、どんなところが難しいのかを徹底して掘ります。
それでも接点を見つけられなければ、さまざまな例を一緒に聞いたり、実際に違いを歌って聞かせたり。
さらに、相手が理解できたかどうか、彼らのことばで説明してもらいます。
「こんな感じですか?」という例を、彼らの音楽の中から見つけてもらいます。
腑に落ちてないな、と感じるときは、さまざまな角度から、相手が納得するまでどこまでも説明します。
彼らにはしつこくて迷惑かもしれないけど、コミュニケーションって、あきらめたら負けだと思うんですよ。
絶対に腑に落ちるポイントはある。
最後は、「やっぱり違うんだね」という理解でもよいから、徹底的に腑に落ちるまで追い込む。
レッスンが終わって、彼らを送り出し、玄関のドアを閉めるとき、いつも自分の胸に手を当てます。
腑に落ちたかな?
今日は彼らに何かを伝えられたかな?
ほんっっと果てしない毎日です。
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