大槻水澄(MISUMI) Blog 『声出していこうっ!』

ボイストレーナー大槻水澄(MISUMI)が、歌、声、音楽、そして「生きること」をROCKに語ります。

*

「は?マスクって、なに?」

   

数年前にロンドンにひとり旅をしたときのこと。

 

そもそも旅の準備は周到に行うタイプ。
海外旅行用持ち物リストなるものまでつくってあるくらいなので、
荷物が多すぎる心配はあっても、まず滅多に忘れ物はしないのですが、

そのときに限って、マスクの予備を持っていくのを忘れてしまいました。

 

何しろ国際線の中は砂漠の湿度
しかも密室に大勢の人と共に閉じ込められる
そして長旅だから確実に眠る

こんな条件で、マスクなしで10時間以上も過ごすなんて、
丸腰で戦場に乗り込むようなものです。

 

さて。

確か、行きがけは、ちゃんとマスクを使っていたはずなのだけど、
思わず座席のポケットかなにかに忘れてきたか、
それとも濡らしすぎて、廃棄しちゃったんだったか・・・

とにかく、帰国前日、帰りの飛行機の中でつかうマスクを調達しなくてはと、
ドラッグストアに出かけたのでした。

 

 

ところがね。

ないんですよ。マスクが。

広い店内のどこを探しても見つからない。

 

久々のロンドン。

日本のドラッグストアのように、
どば〜っとマスクがかかっているコーナーを思い描いてしまっていた自分を嘲笑しつつ、

あぁ、この店には置いてないのかも・・・と、
さらに大きなドラッグストアに行ってみました。

 

日本の当たり前は世界の非常識。
それこそが外国を旅するおもしろさのひとつなのですが・・・

いやはや。
こうやって、必要なもの、
日本では当たり前に手に入るものが見つからないときは、
面白がってばかりはいられません。
こうなったら、ちょっとダサいけど、店員さんに聞くのが一番です。

「すみません。マスクどこに置いてます?」

「は?マスク?」

 

英語だと思って使っていたことばが全く通じないというのはよくあることなので、
そこは気を取り直して、マスクを説明。

「ばい菌の予防に耳にかけて口と鼻を覆う、白くて四角い、布の・・・

というと、

「あー・・・手術のときに使うやつ?」

 

そこはかとなく嫌な予感がしましたが、

「あー、たぶんイエス。」というと、

 

店員さん、おもむろに棚の下の大きな引き出しの奥をごそごそとかき回して、
なんとか1個だけ見つけてくれました。

 

なんと・・・出てきたのは、しっかりした箱に入った、立派なマスク。
しかも箱は立派なのに、中にはたった1個のマスクが、かなり偉そうに入っている。

そして、一番びっくりしたのはそのお値段。
なんと、1200円くらいの高級品。

もちろん、その店に置いてあったマスクは、その1つだけでした。。。

 

右を向いても左を見ても、マスクだらけの日本人と違って、
欧米人はマスクをつけません。

 

友人のアメリカ人女性に聞いたところ、

「だって、あんなのつけてたら、酷い伝染病でも持ってるのかって、
かえって気持ち悪がられるわよ。」

 

アメリカ人の方がばい菌への抵抗力が強いというわけではないはずと考えれば、
文化の差としか言えません。

 

別のアメリカ人男性は

「日本人は自分の風邪を人にうつさないようにという配慮でマスクをするでしょう?
アメリカ人は自分の風邪が人にうつろうがなんだろうが、関係ないんだ。
日本の文化は素晴らしいね」

などと誉めていました。

少々買いかぶりすぎでしょうが、

マスクをする理由の半分はおそらく彼の言うとおりなので、
確かに、日本の文化のよいところとも言えるかもしれません。

 

 

マスクをすることのメリットは・・・

カラダの中に進入するばい菌を少しでも減らす。

鼻やのどの粘膜の乾燥を防ぐ。

気管や肺に、体温と温度差のある空気がいきなり入り込んでくるのを防ぐ。

 

先ほども書いたように、声をつかう仕事をしているような人なら、
長時間移動するときの乗り物の中など、
マスクが必携というケースももちろんありますが、

 

それよりなにより、ばい菌に負けない、抵抗力のあるカラダ作りや、
こまめな水分補給、バランスのよい栄養摂取の方が圧倒的に大切です。

自分が咳が出たりくしゃみが出たりするときは、
自分の口をふさぐ配慮だけは、日本人として忘れないようにしつつ、

マスクに頼らなくても、ばい菌に負けないカラダと環境作りをしたいものですね。

 

この季節、アレルギーの人もマスクを手放せなくなりますが、
アレルギーに関してはまた今度!

 

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 - Life

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